連れ去られた母親イルカは望まない妊娠などを強制されてしまう場合もあるという現状を話す。
また動物を用いてサービスを提供する活動に対して、現在ヨーロッパの約20か国ではサーカスでの動物使用禁止または制限をするという動きが出ている。しかしアメリカで行われているイルカとの触れ合い体験には、毎年何十万人が訪れており、このような触れ合いもイルカにとってはストレスになるという。
さらにイルカも自然の生き物なので時に事故が発生し、過去にはツアーで一緒に泳いでいたイルカが暴走して引きずり込まれたこともあった。
こうした背景もあり、イルカと人間の双方にとって安全な触れ合いのために生まれたのがデレなのだ。デレとの触れ合いを楽しむだけではなく、間近でイルカの生態を学ぶこともできるという。
米サンフランシスコを拠点に置くテクノロジーシステム開発会社「エッジ・イノベーションズ(Edge Innovations)」がデレの開発を担当し、その費用は2080万ドル(約22億8000万円)になったそうだ。それでも「費用はかかるが、本物のイルカのように水温調整やエサの費用などは不要で、飼育しているイルカよりも長期間の使用が可能」と同社はメリットを明かす。
同社のCEO、ウォルティ・コンティさん(Walti Conti)はこのように語っている。
「このロボットイルカは、生き物を使用していることを嫌がって水族館から離れていった人々を再び呼び戻すことができるかもしれません。現在およそ3千頭のイルカが飼育下にあり、それによって数十億ドルもの収益が発生しています。」
「しかしそこには利益の追求だけではなく、イルカを好み、イルカについて知りたいという人間の欲求もあります。その気持ちを満たすために、生きているイルカを用いるのとは別の方法を提供していきたいのです。」
PETAは「ロボットイルカが普及するまでには時間がかかると思いますが、海でもカヤックやスタンドアップパドルサーフィン、シュノーケリング、スキューバダイビングなどでイルカと触れ合うことができますよ」と、屋外で自然のイルカと触れ合うことを推奨している。
画像は『PETA(People for the Ethical Treatment of Animals) 2021年6月7日付Facebook「Could this robot dolphin be the reason SeaWorld changes forever?!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)