この財布の持ち主はフロイ・カルブレスさん(Floy Culbreth)だと分かった。当時、女性は夫の名前で呼ばれることが多かったそうで、インターネットで“フロイ・カルブレス”の名を検索しても、有力な情報に辿り着くことができなかった。
そこでクリスさんは、“インターネット探偵”と呼ぶほど検索が得意な妻ニコールさん(Nicole)の力を借りることにした。そしてニコールさんは、フロイさんの夫である“ロイ・カルブレスさん(Roy Culbreth)”の追悼記事を見つけた。そこから子どもや孫のことを調べると、カルブレス一家が開催していたチャリティのゴルフトーナメント「カルブレス・カップ(Culbreth Cup)」のウェブサイトに辿り着いた。最終的には、SNSを通じてフロイさんの娘ティア・カルブレス・チェンバレンさん(Thea Culbreth Chamberlain、71)と連絡を取ることができた。
昨年11月、クリスさんはティアさんとプラザ・シアターで会い、財布を返すことにした。当日の映画館には、フロイさんの子どもや孫、ひ孫など大勢の親戚が集まって財布の中身を見ながら故人を偲んだ。ティアさんによると、フロイさんは2005年に87歳で亡くなっていた。フロイさんがこの財布を失くした当時、ティアさんは6歳で、財布の中にはティアさんの保険証なども入っていた。
フロイさんは生前、教会で行われる日曜学校で宗教について子どもたちに教えたり、園芸クラブへの参加、脳性まひの人々を支援する非営利活動にも携わるなど地域コミュニティの活動に積極的に参加していた。財布の中身を全て確認したティアさんは、「紛れもなく母の財布ですね。記憶が洪水のように蘇ってきて、母が帰ってきたかのように感じ、とても感動的でした」と懐かしそうに話していた。
財布をフロイさんの家族へ返すことができたクリスさんは、「この歴史ある空間を見守り、運営できること自体がすでに恵まれていると感じています。今回、ご家族の歴史を手渡すことができ、これほど特別なことはありません」とコメントした。
なおテックインサイト編集部ではプラザ・シアターに、フロイさん一家と会った時についての詳細や、今回の出来事が地域社会とのつながりに対する認識にどのような影響を与えたのかをうかがうべく取材を申し入れている。
画像は『New York Post 2023年12月26日付「Wallet lost 65 years ago returned to stunned family after being found in Atlanta movie theater wall: ‘A flood of memories’」(Plaza Theatre)(Google Maps)』『Ghazi Taimoor 2021年7月29日付X「Guys! Just found this wallet on Shoreditch High street.」』『Seth Baltzell 2019年6月20日付Facebook「Crazy Story!」』『Nick Gunz 2020年12月25日付X「Alison Jenkins, we have your top-secret notebook from when you were ten in 1983.」』『Brittany Keech 2020年9月8日付Facebook「Ok so i received this in the mail today.」』『Nautical North Family Adventures 2021年6月19日付Facebook「So look what I found when I was washing windows」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)