女性たちへの迫害の事実も増加している。特にイメルダさんのようにほとんどの被害者は貧しい独身の農村民で、流産や死産といった故意の中絶を行っていない場合においても、証拠が希薄ゆえに有罪判決を受ける結果になってしまうようだ。中絶合法化を支援する活動家らによると、現在イメルダさんの他にも24人の女性が法律に違反したとして懲役15~30年の刑に服しているという。イメルダさんの場合、検察側からは自分の犯罪を正当化させるために性的虐待をでっち上げたと非難されていたがDNA検査の結果、子供の父親は継父であることが明らかになった。
イメルダさんは拘留後の精神鑑定で、虐待やトラウマの認知およびその影響による情緒障害も見受けられたものの拘留されてから18か月の間、イメルダさんは何の心理的支援も受けていない。イメルダさんを弁護する弁護士の1人はこのように話している。
「今回のような女性に対して最も極端でスキャンダラスな不当行為を、私はこれまで見たことはありません。被害者としてのイメルダさんの人権がことごとく侵害されています。イメルダさんは、心身ともに相当な影響を受けているにもかかわらず、彼女の心理的感情はまるで無視されているのです。」
イメルダさんの公判は12日から開始されたが、中絶を試みたとして殺人未遂罪で起訴されているだけに20年の懲役刑を科せられる可能性もあるという。
このニュースを知った人からは、「望まれずに生まれた子供たちのどれほど多くが、施設に預けられているか考えてみたらいい。中絶を全面的に禁止することは、そんな子供たちを増やすことに他ならない。必要とされない子供がどれだけ将来、幸せになっていると思うんだ。ゼロだよ」「イメルダさんの体はイメルダさんのものであり、子供をどうするか決断するのもイメルダさん自身という考え方は当然のこと」「カトリックの考え方は、結局、子供が神からの授かりものという考えを歪めているだけだ」といった声があがっている。
画像は『The Guardian 2018年11月12日付「Woman who bore rapist’s baby faces 20 years in El Salvador jail」(Photograph: Alamy Stock Photo)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)