エマさんとジェイソンさんはこれ以上ハリー君が骨折しないように常に見守っていなければならなかった。身体を平らにすることができる特別なチャイルドシートを使用し、ベビーベッドの柵にはハリー君の手がぶらりと下がったままにならないように固い板を取り付け、ベビーベッドの上にはカメラを設置してどんな動きも注意するよう心がけてきた。
また、家の中でハリー君がつまずいたり転んで骨折しないように気を付けているだけでなく、ハリー君を抱きしめる時や抱きかかえる時にも細心の注意を払っている。くしゃみや咳をするだけで肋骨が折れてしまう危険性があるハリー君が多発骨折を引き起こす可能性をできるだけ避けるためにも、エマさんとジェイソンさんは可愛い盛りの我が子を思いきり抱き締めることができないのだ。現在、1歳7か月になるハリー君は他の子供たちと遊ぶこともできずにいるという。他の子たちがふざけてハリー君を抱えたりすると骨折する恐れがあるからだ。
ジェイソンさんは「転んでも骨折しない時もあれば、テーブルを持ちあげただけで手首が折れることもあるので予測不可能なんです」と言う。夫と同じ病を抱えた我が子の将来を心配するエマさんは、このように語っている。
「ハリーが生まれる前にこの疾患を抱えているとわかっていれば、分娩時の骨折を防ぐために帝王切開で出産していました。もし再び子供を産むなら、帝王切開にしようと思っています。ハリーが成長して自立していけるのかと考えた時にはやはり不安になります。親としては子供を守ってやりたいと思う一方で、できるだけ普通の生活をして欲しいと願っていますから。学校生活が始まっても、もし周りの人がこの疾患について何も知らなければ、息子は校庭などで深刻な怪我をしてしまうことになります。そう考えるととても不安なのです。」
今のハリー君は小児専門病院で2か月に1回、2日間にわたる骨の繊維質を強化する治療を受けているという。「息子の骨は脆いけれど、精神はとても強い子です」―エマさんのその言葉からは、一生向き合わなければならない先天性疾患を抱えながらも強く生きる幼い我が子を誇りに思っていることがうかがえる。そしてエマさん自身も、そんなハリー君の強さに日々救われているに違いない。
画像は『real fix 2018年2月12日付「Real Life China Doll Has Bones So Brittle They Could Break At Any Time」(SWNS/REALFIX)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)