米ミネソタ州ロチェスターの総合病院「メイヨー・クリニック」は今月19日、今年2月に行った30歳男性の顔面移植手術が成功したことを発表した。2014年、銃で自殺を図り顔に重傷を負った男性は、10年ぶりに匂いを嗅ぎ、普通に食事をし、瞬きをし、笑うことができるようになった。米ニュースメディア『CBS News』などが報じた。
2014年3月5日、ミシガン州ヒューロン郡ハーバー・ビーチの実家の外で、当時19歳だったデレク・パフさん(Derek Pfaff、30)が銃で自殺を図った。
大学1年生だったデレクさんは当時、春休みを利用して帰省中で、父ジェリーさん(Jerry)が午前2時前、真っ赤に染まった雪の上で倒れている息子を発見した。
母リサさん(Lisa)によると、高校時代のデレクさんは成績優秀で、州選手権大会に出場できるほど強いアメフトチームのキャプテンを務め、ランニングバックとして活躍するスター的存在だったという。ただ、大学に進学してからはかなりのストレスを抱えるようになった。デレクさん自身は自殺を図った日のことを覚えておらず、病院で目覚めた時には「交通事故にあったのだろう」と思ったそうだ。
デレクさんはその後、顔のほとんどを失い、両親は医師から「助かる見込みは非常に低い」と告げられた。しかし奇跡的に生き残り、今年2月に顔面移植手術を受けるまで、58回の顔の形成手術を受けていた。
それでも手術前、片目だけしか見えず、瞬きもできない状態で、話すことや呼吸、匂いを嗅ぐことすら困難だった。さらに、食事を噛んだり飲み込むことができなかったため、経管栄養に頼る生活を余儀なくされ、家にこもりがちな生活が続いた。そして58回目の手術の後、医師に「私たちにこれ以上、できることはない」と告げられ、顔面移植を勧められた。
こうして2020年8月、デレクさんは顔面移植のレシピエントとして適しているかどうかの検査を受けた。そして、ドナーが見つかった今年2月に、