中国東部江蘇省の南京長江大橋は“自殺の名所”と言われるが、この橋で21年間、一日10回ほどボランティアでパトロールを続ける男性がいる。「南京の天使」と呼ばれる男性は、これまで橋から飛び降りようとする460人以上を救ってきた。中国のニュースメディア『微信公众平台』などが伝えた。
江蘇省の省都、南京に住むチェン・シーさん(陳思、56)は、南京長江大橋が建設された1968年に誕生した。幼少期に母親を亡くし、父親が病気だったため祖母に育てられたそうで、人を説得する話術は隣人間のトラブルの仲介をしていた祖母から学んだという。
チェンさんが、南京長江大橋で初めて人を救ったのは2003年9月19日のことで、21年間で460人を超える自殺志願者を救ってきた。チェンさんは中国語で「日々、命を大切にしよう」と書かれたジャケットを身に着け、一日に約10回、橋の上をパトロールする。そして橋から飛び降りようとしている人に声をかけたり、飛び降りる寸前の人を体を張って助け出したりしている。
「心に重い葛藤を抱えている人は動きが硬く、重い」と語るチェンさん。自殺志願者には「息をしてさえいれば、人生をやり直す希望が持てる」と説得するそうで、今年7月24日の時点で469人が橋から飛び降りるのを防いでいる。
それでも「あと少しで命を救えたのに」ということが何度かあり、