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writer : tinsight-masumi

【海外発!Breaking News】人身売買? 配車アプリ運転手の不審な行動に旅行者が逃げ出すも、のちに誤解と判明(タイ)

5人は「別の場所に連れていかれるのでは?」と思い始めた。

タイでは人身売買が横行していることもあり、身の危険を感じた5人はバンコク市内の繁華街に差しかかった際、運転手に「トイレに行きたいから車を停めて欲しい」と頼んだ。しかし、運転手から「この付近には車を停める場所がない」と断られてしまったという。運転手は「この先のガソリンスタンドなら大丈夫」と伝えたが、アンドリューさんはこの付近にガソリンスタンドがないことに気づいた。

アンドリューさんたちはこのままでは自分たちが人身売買業者に身売りされると思い、道路が渋滞している間に外へと飛び出し、荷台のスーツケースを鷲掴みしてその場から逃げた。この時、運転手は5人が逃げようとしているにもかかわらず、追いかけて料金の支払いを求めることもなかったという。

運転手から逃げ切ったアンドリューさんたちは、飛行機の出発時間が迫っていたことから警察に通報することはなかった。その代わり、Facebookに運転手の顔写真を添えて投稿し、人身売買の被害に遭わないように「配車アプリではなく地元のタクシーを使うように」と他の人に向けて警告した。

その後、アンドリューさんの投稿からタイ観光局と観光警察が調査に乗り出すこととなり、問題の運転手の身元を突き止めて取り調べを行った。そして調査の結果、アンドリューさんたち5人を恐怖に陥れた運転手の行動は「全て誤解だった」と、タイ観光局が9月9日に公表した。

台湾を拠点とするニュースメディア『Gutzy Asia』によると、運転手の男性に犯罪歴はなく、現在は医療機器サービスの会社に勤務し、副業で運転手をしているという。この運転手は、「inDrive」では同社が指定するGPSアプリケーションを使用することが義務付けられていると話しており、そのルートに従って走行しなければならないそうだ。

そのためアンドリューさんが使用した「Waze」とルートが異なっていたため、到着時間に差が出たというのだ。また「トイレに行きたい」と言われた時のことについても、交通量の多い狭い道路ということもあり、停車は不可能だったという。

さらに、電話をしていた相手は彼のいとこであり、いとこが自動車事故の保険の請求や裁判についての問題を抱えていたため、無下に電話を切ることができなかったと説明している。運転手の男性は最終的に身の潔白が証明されたが、今回は5人を迎えてから長時間電話で会話をしていたことで処分を受けてしまったそうだ。

なおその後、アンドリューさんが誤解を認めたといったことは報じられていないが、9月11日付の『中国報(China Press)』が伝えたところによると、アンドリューさんが「タイ観光局が公表した調査結果について、最終的に誤解だったとしても、警察が運転手だけの話を聞いて判断を下すのは不公平であり、関係者全員の証言を聞いてから、再度結論を出してほしい」と望んでいることや、「タイ警察の捜査に喜んで協力したい」と話したそうだ。

画像は『The Rakyat Post 2023年9月8日付「Pigging Out: Malaysian Tourists Narrowly Escape Shady E-Hailing Driver In Bangkok」(Pix: Facebook/China Press)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

「人身売買」を疑ったアンドリューさんら5人は、車に積んだスーツケースを鷲掴みしてその場から逃げたそうだ(画像は『The Rakyat Post 2023年9月8日付「Pigging Out: Malaysian Tourists Narrowly Escape Shady E-Hailing Driver In Bangkok」(Pix: Facebook/China Press)』のスクリーンショット)

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