タイラーさんはNICU(新生児集中治療室)で過ごした日々をこのように振り返った。
「私は娘に『オータム、大丈夫よ。旅立つ準備ができたなら行っていいわ。でもまだ準備ができていなくて、この闘いを続けたいのならママはあなたと一緒に闘うわ。何があっても私たちは一緒にやっていくのよ』とずっと話しかけていました。娘のためにただ祈って、毎日話しかけて、歌を歌って…そんな日々でした。」
「NICUは奇跡が起きる素晴らしい場所ですが、一方では出産に関するトラウマを抱えやすい場所でもあります。実際にNICUで過ごしていた時、親の叫び声を何度か聞きました。そしてそれが今でも私の頭の中に残っているんです。彼らはそんな姿を外で見せることはないでしょうが、NICUではそれが現実なんです。ここで生活していない限り、その現実を知ることはありません。そして親だけでなく医師や看護師、その場にいる全ての人がその状況を目の当たりにしなければなりません。」
そんな中、タイラーさんはNICUで季節の行事や祝日、誕生日を祝っていたそうだ。彼女のその前向きな姿勢は、医師や看護師だけでなく他の患者や家族にも希望を与えたという。
タイラーさんは「部屋を装飾したり、看護師のみなさんにキャンディを配ったりしていました。私たちは悪い状況に置かれていて、そこから抜け出すことはできないと思っています。でも小さなキャンディは誰かに小さな幸せをもたらすことができるのです」と話している。
そして今年8月17日、オータムちゃんは524日間の入院生活を経てついに退院の日を迎えた。
現在は訪問看護師の助けを借りながら介護に専念しているタイラーさん。そんな彼女は、これまで自分たちを支えてくれた人々に対し感謝の気持ちをこのように述べている。
「生まれてから1年5か月、娘は病院内での生活しか知らず、外を見たこともなければ風を感じたこともなかったのです。退院の日、私はオータムと一緒に外に出られることにただ感謝しました。自宅に戻ってからも人工呼吸器は使っていますが、最近では座ることができるようになり、おもちゃで遊べるようになりました。病院のスタッフは本当の家族のようです。彼らは私が泣いたり笑ったりするのを見てきたし、私の叫びも聞いてくれました。それにみんな私の娘に愛情を持って接してくれていました。娘を退院させてくれた医療従事者こそ真のヒーローなのです。」
「オータムはとても幸せな赤ちゃんです。頑固ですが愛すべき存在なのです。娘が大きくなったら、自分がどれだけ愛されてきたのかを知ってほしいです。私はこれまで病院スタッフや家族、友人のサポートを受けながら、娘のためにできることは全てやってきました。娘のために多くのものを犠牲にしてきましたが、これからも娘のためなら何だってやります。だって私はオータムを愛していますから。」
画像は『Good Morning America 2022年9月22日付「Toddler goes home after over 500 days in the hospital」(Tyler Robinson)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)