キャンディスさんはマリアさんからニコラスさんの名前や写真が入った手紙を受け取った。臓器移植のほとんどのケースでは、手術から1年経てばドナーから連絡することが可能だが、マリアさんは1年待つことができずに「息子が新しい命を与えた人たちのことを知りたい。そして亡き息子についても知ってもらいたい」とペンを執ったという。
キャンディスさんによると、ジーン・ポール君の最初のドナーからは1度も連絡がなかったそうで、一家は10年経った今でもドナーの名前や顔を知らないのだという。初めての家族からの手紙に驚きながらも、キャンディスさんはすぐに連絡を取り、2家族はSNSや電話で繋がった。そして手術から1年8か月経った今年5月14日、2家族はニューオーリンズで対面を果たした。
当時の様子はカメラが捉えており、キャンディスさんは聴診器を準備、ジーン・ポール君と初めてハグを交わしたマリアさんは、ニコラスさんの心臓の鼓動を聴いたのだった。
「ジーン・ポールのハグはとても力強く、ニック(ニコラスさんのニックネーム)と一緒でした。心臓の鼓動も強く、たくましく、まるでドラムの音のように響いてきたのです。ジーン・ポールはまるで生きていた頃のニックそのままでした」と明かすマリアさん。続けて「ニックが自分の臓器や組織が新しい家族に命を与えていることを知ったらさぞ喜ぶことでしょう。ニックの心臓がジーン・ポールの中で動き続け、命やエネルギー、そして情熱を与えていることをとても嬉しく思います」と感慨深そうに語った。
一方のキャンディスさんは、ジーン・ポール君が中学校に通いプロムに参加するほど元気になったこと、マリアさん一家とは家族のような付き合いをしていることを明かし、「私たちにとってニックはもうドナーではありません。ニックはニック。私たちの家族の一員なのです」と述べると、移植された心臓がジーン・ポール君の命を繋いだことに感謝し、こう述べた。
「人が亡くなった時に臓器移植について話したい人はいないでしょうね…。ただこれはとても大切なことなのです。なぜならもしニックがいなかったら、息子は生きてはいなかったのですから。」
画像は『ABC News 2022年5月21日付「Mom hears late son’s heart beat in 14-year-old boy for 1st time」(Louisiana Organ Procurement Agency (LOPA))(Courtesy Candace Armstrong)(Maria Clark)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)