筋肉を動かそうとする時に生じる微弱な電気を読み取ることで細かい動きができる義手だ。そんなバイオニックアームを装着したジェイコブ君はすぐにその技術に魅了され、「自分の腕が欲しい」と切望するようになったという。
「昨年、オープン・バイオニクス本社を訪れた時、ジェイコブがテニスボールを落としたり拾ったり、OKサインができた時に『ママ、僕はこんなことができるんだ!』と言っている姿を見て、私は泣きそうになりました。」
そのように語ったバーニスさんは、ジェイコブ君の夢を叶えるためクラウドファンディングサイト『GoFundMe』の募金ページを立ち上げ、義手のオーダーメイドにかかる費用13000ポンド(約210万円)の寄付を募った。
そして募金開始からわずか数週間で目標額を達成したジェイコブ君は今年の2月24日、ついに世界に一つだけの自分のために作られた義手を受け取った。
バーニスさんは、そんなジェイコブ君の様子をこう話している。
「義手が届くまでの間、ジェイコブは毎日『どうしてこんなに時間がかかるの? いつ届くの?』と楽しみにしていました。そしてスーパーヒーローをテーマにした自分だけの義手を受け取ると『アイアンマンになるんだ!』と興奮して飛び回っていました。使い方に慣れるまでは大変でしたが、すぐに簡単に使えるようになりましたね。それからというもの会う人みんなに見せて、ハイタッチやガッツポーズをしたがるんです。毎日できることが増えていることを実感していて、とても楽しそうです。」
「特に今は自転車に乗れるようになったことが嬉しいようです。これまでも義手なしで自転車に乗ることができましたが、ハンドルを正しく握ることができなかったためふらついていたんです。でもバイオニックアームのおかげで、もうふらついたり落ちたりする心配はありません。クリスマスプレゼントの新しい自転車に乗って、ようやく友達とサイクリングできるようになったのですから。」
「これまで他の子供たちと同じようにできないこともあって、少しイライラすることもありました。車のドアを開けたり、お菓子のパックを開けたり、簡単なことですが今ではすべて自分でできるようになりました。毎日、何か新しいことができるたびに『ママ、できたよ!』と叫んではしゃいでいます。これはジェイコブの自尊心に大きな影響を与えました。母親の私が言うのもなんですが、息子はとてもかっこいいのです。」
そんなジェイコブ君の夢は、ジェームズ・ボンドのようなスパイになることだそうだ。
画像は『Metro 2022年3月30日付「Boy, 7, with £13,000 bionic Iron Man arm can now ride a bike safely」(Picture: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)