隕石特有の“フュージョンクラスト”が現れた。フュージョンクラストとは、隕石が落下時に大気との摩擦で表面が融けた部分を指す。通常は黒っぽい色をしているが、トニーさんが見つけた隕石にはガラスのような白っぽいフュージョンクラストが付いていたという。
またその隕石は白い結晶の筋が入り2色で構成されていたが、結晶状の鉱物である石英とは異なることをトニーさんは確信していた。それでも自分だけでは判断しきれなかったトニーさんは、世界中の専門家やコレクターに連絡して意見を求めた。英ロンドン自然史博物館が興味を示していたそうだが、ロックダウンの影響ですぐに鑑定などの行動を起こすことができなかった。またアメリカ在住の専門家が画像を見て隕石の可能性を示したが、サンプルを調べない限りはハッキリとしたことは分からないという返事だった。
その後、1人のコレクターが「サンプルを調べますよ」と快く提案してくれたため、トニーさんは隕石を削るためのダイヤモンドを用いた刃物を購入した。そして1.1キロあった大切な隕石に刃を入れて、小さな破片を2つ切り落としてサンプルとして郵送した。だがその結果は期待していたものではなかった。一般的な隕石には酸化鉄が多く含まれており、“希土類磁石”という特殊な磁石に引き寄せられる特徴を持つが、コレクターの調べによるとトニーさんが送ったサンプルはその磁石に反応しなかった。
期待が高まっていただけに肩を落としたトニーさんだったが、その数か月後に送った隕石のサンプルがオンライン上で販売されているのを発見した。「オンラインで販売されていたのは、まさに私が切り出したサンプルと同じ形をしていました。『本物の隕石でないのなら、なぜ売りに出されているんだ?』と思いましたね」とトニーさんは語っている。
専門家に鑑定を依頼するかどうかは明かされていないが、トニーさんは現在ベッドサイドのキャビネットに隕石を置いて保管し、毎晩のように隕石の落下を目撃した夜のことを思い出しているという。隕石について様々な情報を集めたトニーさんは、今回発見した隕石は10万ポンド(約1570万円)の価値があるのではないかと推測しているそうだ。
ちなみに今年2月には、隕石の落下により穴の空いた犬小屋にオークションで3400万円超の高値が付く可能性が報じられており、トニーさんが発見した隕石もかなりの価値があるものではないかと期待されている。
画像は『North Wales Live 2022年3月6日付「Man tracks down ‘space rock’ after watching ‘huge fireball’ fly past his house」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)