その効果を確認できるまではさらに3か月待たなければならなかった。しかし治療後2週間ほどで再び鼻に痛みを感じるようになってしまったという。
「最初のうちは様子を見ていたのですが、6月下旬に詳しい検査を受けることになりました。その結果、放射線治療は効いておらず腫瘍が急速に成長していることが分かったのです。私にはもう鼻を切除するという選択肢しか残されていませんでした。私は外見のことはあまり気にしませんが、鼻がなくなってしまうことで自分のアイデンティティはどうなってしまうのだろうという葛藤がありました。ただその時はとても痛かったので、腫瘍に消えてほしいと思っていました。」
そして2020年7月、鼻の切除手術を受けたトリッシュさんは、その後の生活についてこのように明かしている。
「腫瘍が大きくなっていたので傷口も広くなってしまい、傷が治るまでは1年ほどかかりました。夫はしばらく鼻のない私を見ることができませんでしたが、手術が終わって数か月間は鼻にパッキンを入れていたので人前でも快適に過ごすことができました。何かの手術を受けたように見えましたが、その時はまだ鼻がありましたからね。鼻がないとわかるようになったのは、平らな包帯と固定できないマスクをつけるようになってからです。それからは人にじろじろ見られたり指をさされることも増えました。それは今でも続いていますが、人前で普通に過ごせるようになるまでには何か月もかかりました。」
「手術から1年以上が経過した2021年10月、はじめて義鼻を装着しました。事前に傷口の型を取ってもらいに行ったのですが、2回目に訪れた時には蝋で仮の義鼻を作ってくれていて、私はそれを装着して泣いてしまって…。外見はもちろん、散歩に行ってもじろじろ見られたり、笑われたりすることがないし、眼鏡をかけられるようになったのですから。鼻を手に入れることはとても素晴らしいことです。」
現在は再発の兆候を確認するため半年に一度の検査を受けているというトリッシュさん。そんな彼女は、顔に障害のある人への偏見と差別をなくすことを目指すカナダの慈善団体「AboutFace」のキャンペーンなどに参加し、自らの経験をもとに顔に違いを持つ人々への認識と理解を深める活動を続けているそうだ。
画像は『Metro 2022年2月17日付「Woman who felt pain while washing her face discovers tumour and has to have nose removed」(Picture: Jam Press)(Picture: Trish/Jam Press)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)