2019年にジェイミーさんと結婚すると「体外受精で赤ちゃんが欲しい」と不妊治療施設にも通院した。海外旅行にも出かけ、今年初めには豪クイーンズランド州東岸のウィットサンデー諸島でハネムーンを楽しみ、グレートバリアリーフで泳いだ。ジェイミーさんは「最期には身体の左半分が思うように動かなかったのですが、ファーガスは不平を言うこともなくスノーケリングをしていました。彼は最期まで夢を追い、病気と闘っていたのです」と、当時の様子を振り返る。
そうして不妊治療開始から10か月後、夫婦は待ちに待ったニュースに歓喜した。ジェイミーさんが女の子を妊娠していることが分かったのだ。
ジェイミーさんは「妊娠は難しいと思っていたので、私たちは飛び上がって喜びました。ファーガスはどんなに具合が悪くても私の検診には一緒についてきて、いつも私のお腹をさすり、娘に話しかけていたのです」と述べ、「娘を授かったことがファーガスに病気と闘う力を与えていたのだと思う」と回顧した。
それでも病魔には勝てず、ファーガスさんは今年3月31日に自宅で静かに息を引き取った。娘のアイラ・スコットちゃん(Isla Scott)が誕生する4週間前のことだった。
ジェイミーさんは「アイラが生まれてからは嬉しい反面、娘を抱くことなく逝ってしまったファーガスを思い複雑な気持ちになるのです。『彼ならきっと素晴らしい父親になれたのに』とか『娘と一緒にあれも、これもしたかっただろうな』と考えると、どうにもやりきれません」と語り、「ファーガスの命を奪った脳腫瘍の研究が進み、患者や家族のサポート体制が一日でも早く整うことを願っています」と続けた。
実は自分の死期を悟ったファーガスさんは家族に動画や手紙を遺しており、ジェイミーさんは父から娘にあてたメッセージの一部を披露した。
「私は今、病気と必死で闘っている。君と会うことができるようにね。」
「決してあきらめてはいけないよ。」
「夢を追いかけて生きるんだ。」
「他の人と同じように生きる必要はないぞ。」
「ママとパパはいつも君のことを誇りに思い、君のことを考えているからね。」
「一日一回笑顔になれるなら、全ては上手くいくからね。」
「君が結婚する時は見守っているよ。そして君と一緒にバージンロードを歩くんだ。」
画像は『7NEWS.com.au 2021年5月4日付「Pregnant NSW woman widowed by cancer only weeks before giving birth」(Credit: Supplied)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)