テアラ君の一生懸命な姿は多くの人の心を動かした。国王から贈られる名誉の称号“オクニャー”を持つラング・タイレンさん(Lang Tyleang)もその1人である。
ネットで拡散したテアラ君のレースの写真を目にしたラングさんは本人を探し出し、彼に新品のマウンテンバイクをプレゼントした。
ラングさんは地元紙のインタビューにこう話している。
「十分な自転車やその装備が買えなくてもレースに参加した彼の心意気が気に入ったんです。私も昔は彼と似たような境遇だったので。」
マウンテンバイクを受け取ったテアラ君は「本当に幸せです! 今後もレースに参加するつもりです」と意気込みを語ったという。
さらにテアラ君への支援はラングさんに留まらず、次から次へと寄付の申し込みが続いた。テアラ君はこれらの打診について、このように述べた。
「まずは家族たちを助けてあげてほしいです。そして、もし可能であれば新しい洋服や教材などが貰えたらいいな。」
自分より家族のことを思う少年に支援者らはその願いを聞き入れ、家族には食料や金銭の寄付が寄せられたそうだ。またある女性は、壊れかけたトタンの家に暮らすテアラ君の家族に新しい家を建てることを約束したという。
さらにこれらの支援の流れを受けて、カンボジア赤十字社も自転車レースに参加した子供たちに食料品や学習教材を贈ったそうだ。
そしてテアラ君にとって最も嬉しい贈り物となったのが、ベルテイ・インターナショナルスクールへの入学だ。同校は現在4年生のテアラ君と友人2人に対し、高校卒業にあたる12年生まで学費の全額支給を申し出たという。
父親のペッシュ・タさん(Pech Tha、53)は「テアラが自転車レースに参加したことすら、自転車の贈り物の話があるまで知らなかった」と言い、その電話を受けた時のことを興奮冷めやらぬ様子でこう振り返った。
「ベルテイ・インターナショナルスクールから連絡があった時はとても興奮しました! 学費を12年生分まで全部支払ってくれるというのですから。」
この一連の思いがけぬ人生の転機とチャンスに対し、テアラ君は「とても幸せな気持ちでいっぱいです。ここから高校卒業できるように精一杯頑張ります」と話している。
画像は『Lang Tyleang 2020年11月11日付Facebook「Now I find that boy and give him a bike for his hard work and good attitude.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)