彼女の病気ゆえに状況が把握できなかったか、もしくは警告を忘れてしまったようである。
またグレンさんのもとには男性の徴収職員から直接電話があったが、男性はグレンさんの理解力に疑問を持ちつつも対応を行わなかった。リサさんは徴収職員との会話を『NBC New York』にこのように話している。
「どうやら徴収担当の男性は母に電話をしていたようです。彼は私に『母が理解しておらず、何かがおかしいと気づいた』と言いました。」
「私が『ちょっとごめんなさい、あなたは今日たった6セントの未払いのために母の家を売るのね』と伝えたところ、彼は『ああ、こういうことが雪だるま式に膨れあがってすすんでいくんだね、すごいことだよ』と言ったんです。」
リサさんはどうにか母親の家の売却を防ごうと市長をはじめ、町役場で働く人へ連絡がつく限り電話をかけた。この電話によって事態を把握したクリストファー・シチリアーノ市長(Mayor Christopher Siciliano)は「当然のことながら、町が誰かの家を6セントで売りに出すのは本当に恥ずべきことだし、愚かだ」と話し、グレンさんへ謝罪を述べている。
また市長は徴税システムの見直しが必要であるとも認めており、以下のように説明した。
「税金の支払いは4半期ごとに分割して払い続けることが出来ますが、過去の支払いがきっかけとなって最終的に今回のように税金による家の売却に結びつくことがあります。」
「システムはすべてコンピュータによる管理なので、人の手で修正できるものではないんです。」
シチリアーノ市長は売却が行われてしまう前に、どれほどの負債額なのかによって売却制限を設けるための法律を作るように州当局に働きかけたことを明らかにした。
リサさんは今回の市の対応について「大勢の人がいるオフィスの中で、たった6セントを出すことができないなんて! なんでもっと柔軟な発想ができないの! 恥を知りなさい。10セントくらい自腹で出せないの?」とその怒りを露わにした。
その後、グレンさんは家の売却を免れたものの心配と不安が拭えず、24時間のうちに何十回もリサさんに「私の家は大丈夫なの? 荷造りしないといけないの? どこに行けばいいの? どこに住めばいいの?」と電話で確認してきたそうだ。
たった6セントほどで家を失ってしまっては後悔してもしきれない。コンピュータを使った仕事は効率よく便利だが、今回の事態のように人の心遣いが必要となる柔軟性ある対応ができないのが難点だ。コンピュータに頼りすぎるのも問題である。
@PhilMurphyNJ Is this how you want seniors treated? Appalling. @CNNnewsroom pic.twitter.com/2nsq8ChX59
— Lisa Suhay (@NiceChess757) September 9, 2020
画像は『LADbible 2020年9月18日付「Woman With Alzheimer’s, 89, Almost Loses Home Over Six Cent Tax Bill」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)