できる限り早くデイジーを山から降ろすことが必要だった。
救助隊員はデイジーに優しく話しかけ、居心地が良いように担架をアレンジした。餌をたくさんあげるとすぐヘッドガードに顎を乗せて落ち着き、救助隊が助けに来たことを理解した様子だったという。
「現場到着後はデイジーにこれ以上の苦痛を与えないよう、慎重にデイジーの状態を観察し、痛みを和らげる鎮静剤を投与しました。」
「そこから先は、少しばかりの調整を省いて、人間を救助するのと変わりはありませんでした。これは我々の本業です。これまでに何百回と行ってきましたから。」
「我々の“命を救い、苦痛を和らげる”という使命が、単に旅行者や我々の担当地域の住民や訪問者だけにとどまらないと認識しています。」
「救助隊員の中には自宅で犬を飼っている者もおり、私たちは探知犬“ジェス(Jess)”とともに働いています。ですから我々は、動物と飼い主が感じる苦痛を理解しているのです。」
この日、リンカンシャー州の自宅に戻った飼い主のホールさんは「素晴らしい救助でした。デイジーはとても快適だったようで、言葉で言い切れないほど感謝しています」とお礼を述べ、このように明かしている。
「山にいた時も、デイジーは今のような状態でした。横になってとても落ちついて、お昼寝をしたいという感じで。山の上で時間が経過し、天気が変わるかもしれないと思いました。私たちは救助隊を呼ぶのが一番だと考えたのです。」
16人のボランティア隊員達は、小さな滝などを乗り越えながらデイジーを乗せた担架を運んだ。36年間ボランティア活動をするリチャード・ウォーレンさんは「なぜ犬を救助するのかと尋ねる人もいるだろう。私たちの使命は、救命と苦痛を和らげることです。犬を山に放っておくことはできませんよ」と語っている。
画像は『Metro 2020年7月26日付「St Bernard dog rescued from England’s highest peak」(Picture: PA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)