ハンターさんは式の壇上と同じ長さの150フィート(45メートル)を歩くことができるまでになっていた。
ジェフさんは、その頃のハンターさんについて「ハンターは卒業式に歩くために訓練をしていることを、家族以外の誰にも話すことはありませんでした。知っていたのはきょうだい2人と妻と私、そして理学療法士だけでした。みんなをあっと驚かしたかったのでしょうね」と明かしている。
しかしその後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いオクラホマ州教育局が学校を閉鎖したため、「卒業式に歩きたい」という一心で頑張ってきたハンターさんは精神的に酷く打ちのめされてしまう。それでも「式までには状況が変わるかもしれない」と希望を捨てずに訓練を続けた。
そんなハンターさんの努力を知ってか、事態が好転した。卒業式が行われる前日の5月15日、オクラホマ州のケビン・スティット知事(Kevin Stitt)が規制緩和を発表し、式が予定通り決行されることになったのだ。まさにギリギリのタイミングだった。
そして卒業式当日の5月16日。ハンターさんは壇上に立ち、歩行器を押しながら一歩一歩を確かめるように自分の足で歩いた。両脇にはハンターさんを支え続けた理学療法士が付き添い、その姿を見届けた。数百時間にも及んだ苦しい訓練が実を結んだ瞬間だった。
ジェフさんは卒業式の様子を次のように振り返っている。
「誰もが『信じられない』という思いでハンターを見つめていました。人々はハンターの姿を称えて歓喜の声をあげ、拍手が鳴り響きました。そして観衆は静かになり、みんなが頬の涙を拭っていました。」
「卒業式は本当に素晴らしく、私たちは最高の時間を過ごすことができました。式の日のハンターの笑顔が全てを物語っています。あの日のハンターは、喜びと興奮で溢れていたのです。」
決してへこたれることなく1年前の夢を叶えたハンターさん。今秋からは次の課程に進み、再び学業に専念する予定だそうだ。
画像は『Good Morning America 2020年5月29日付「High school grad with cerebral palsy surprises fellow students by walking stage at graduation」(Morgan Schwarz Photography)(Courtesy Jeff Wittrock)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)