今年9月にER(救急隊)24南部ケープ支店長のヨハン・プリンスルーさんに一本の電話が入った。「救急車を丸一日借りることができるか」という内容で、電話の主はフリッキーさんの妻マリアさんであった。ER24は南アフリカ最大手の救急医療サービスで、民間の会社であるため救急車を借りるとなると他社同様非常に高額になる。しかし事情を知ったプリンスルーさんは、フリッキーさん家族のもとに出向き、何とか力になりたいと救急車を一日無料で提供することを決めた。さらに自宅から式場、そして自宅へ戻るまで救急隊付きでケアをすることも約束した。この申し出に家族は感激の涙を流し、特に誰よりも最愛の父の出席を願っていたヤンドレさんは号泣したという。
そして10月6日の挙式当日、ER24の救急隊員アンドリュー・ボータさんとダリル・シスターさんは救急車を綺麗にクリーニングし、通常使う白いシーツから、ヤンドレさんたちの結婚式のテーマカラーに合わせたグレーのシーツを用意した。
フリッキーさんは、ピンクのシャツにピンクのバラをさして準備万端で自宅から教会へ移動。教会で行われた挙式にはストレッチャーで出席し、フリッキーさんのそばには2人の救急隊が常に寄り添っていた。式の途中では、指輪を運ぶ人がいなかったため、フリッキーさんの胸のあたりにクッションを載せ、そこに指輪を置くという粋な計らいも行われた。
救急隊員のボータさんは「家族や招待客だけでなく、私たちにとっても非常に感動的な一日でした。今回の件に携わることができて光栄でした」と語っている。
最愛の父に結婚式に出席してほしいという願いがかなったヤンドレさんは、「6か月間も家から出ることがなかった父でしたが、今日は終始笑顔でした。当初はダンスすることも座ることもできないため、父にとっては居心地が悪いだろうなと心配もしましたが、結果は素晴らしいものになりました。ER24の隊員のみなさんが常にそばにいてくれたので、父も安心だったと思います。結婚式に父を呼べたことは人生で最高の出来事です」とER24への感謝の言葉を述べている。
画像は『ER24 EMS(Pty)Ltd. 2018年10月18日付Twitter「Dad’s front row bed at wedding.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)