英紙『Daily Mail』が報じたところによると、ジンバブエを祖国に持つパイーダさんの母メイヴィスさんは、当時9歳だったパイーダさんが体調不良を訴えたため検査をしてもらった。そこでバイーダさんがHIV感染者ということが判明、その時に初めてメイヴィスさん自身もHIVに感染していたことが明らかになったという。
しかしメイヴィスさんは、娘にHIV感染の事実を打ち明けることができなかった。その2年後、自分がHIV感染者だと母から告げられたパイーダさんは激しいショックを受け、自殺を考えるほど落ち込んだという。パイーダさんがHIVに感染しているという噂は学校中にも広まり、それまで飲み物や食べ物をシェアしていた友人が近寄ることさえしなくなった。廊下に出ると「死ね」とまで暴言を吐かれたこともあったそうだ。
そんな周囲の態度の豹変にうんざりしたパイーダさんは、16歳の時に自らFacebookでカミングアウトした。「もうこれで自分を隠す必要がないんだってホッとした」とパイーダさんはその当時を振り返る。
一方でパイーダさんが葛藤している頃、母メイヴィスさんも同じように苦しんでいた。娘にHIVをうつしてしまったことへの罪の意識もあり、母娘でHIVに感染しているという現実の前に将来を嘆き、うつ病を患った。
しかし母娘は互いに労りあい、同じ病気と闘うことで絆をより一層深めたとメイヴィスさんは言う。そんな中でパイーダさんはある日、自分が妊娠していることに気付くことになる。免疫力の回復やHIVの体内での増殖・感染拡大を防ぐため、1日3錠の抗HIV薬を服用していたパイーダさんだが、“お腹の子供がHIVに感染しているかどうか”が気がかりであったという。
そして5か月前、パイーダさんは無事に男の子を出産した。カイ君と名付けられた赤ちゃんは検査の結果、HIVに感染していないことが判明した。
「HIVに感染していても、早期治療を行い病気に対する正しい知識を得ることで、きちんと無事に妊娠し出産を迎えることができる」ということを身をもって経験したパイーダさんはFacebookでその心境を綴り、HIV感染者とのチャットを通じて、HIV検査をすることの重要さや注意喚起などを促している。
パイーダさんは現在、抗HIV薬により血液内のウイルス量が検出限界以下に抑制できており、医師からは「普通の生活を送ることが可能」と言われたそうだ。
将来、ソーシャルワーカーとして社会福祉関係の仕事をしたいと願うパイーダさんは、大学へ進学する意欲を見せている。自分のようにHIV感染者やその子供たちへのケアが十分なされる社会作りを目指したいと語っている。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)