孫と一緒に空中旅行を楽しむ祖父母の夢は一瞬にして悪夢に変わってしまった。祖父の発作で線路に墜落した小型飛行機。その線路上を通過するはずだった電車は事故現場から100m手前でブレーキを踏み、緊急停止することに成功した。奇跡的に助かった孫とこの世を去ってしまった祖父母。事故の巻き添えから逃れた電車の乗員と乗客。真っ二つに割れた飛行機が事故の悲惨さと明暗に分かれた運命を物語っている。
9月19日日曜日の午後、フランス北東部のオート=ソーヌ県で、プライベート小型機の墜落事故が起こった。それは祖母(56)が11歳と12歳の孫2人にプレゼントした空中旅行の悲しい結末だった。
秋晴れの澄み切った空から地上を眺め、おしゃべりに花を咲かせていたであろう4人を乗せた飛行機は、ベテランパイロットである祖父(66)の突然の発作で地上に急降下。コントロールを失った機体はなんと線路上に墜落してしまった。後部座席に座っていた孫2人は自力で脱出し、奇跡的に軽傷で済んだが、パイロット席と助手席に座っていた祖父母は墜落の衝撃を前方から全身で受けて亡くなってしまった。
今回の事故の被害は、2人の尊い命が途絶えてしまったとはいえ、この飛行機の乗客4人だけにとどまったが、一歩間違えればさらなる大惨事になっていただろうと推測される。墜落した線路のその場所は、事故直後、時速110kmで乗客を50人ほど乗せていた電車が通過する予定だったからだ。ガソリンエンジンの飛行機に電車が突っ込んでいたら、おそらく大火災を招いていただろう。事故を目撃した車のドライバーの迅速な通報のおかげで、電車は飛行機の100m手前でストップした。大惨事を免れた電車の乗客はその場からバスで移動したということだ。
昨今では一部のお金のある人達の間で、飛行機やヘリコプターがますます個人の移動手段として使われるようになっており、それに比例して、空中事故も頻繁に耳にするようになった。そういった飛行中のパイロットの突然の発作を予知するのは困難だと思うが、大型飛行機のパイロットのように、プライベート機のパイロットにももっと定期的な健康診断を義務付けていれば今回の事故は未然に防げたのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 福山葉月)