弁護士のもとを訪れた。
するとダイアンは弁護士に向けて、パチーノのことを「彼は(演技のこと以外は)馬鹿で無知だから、お金の管理に関しては、あなたがしっかりと面倒を見るべきなのよ!」と言い放ったという。
同書でパチーノはダイアンが正しかったと認め、「お金の仕組みが分からなかった。キャリアの仕組みが分からなかったのと同じで、私は全くその分野に通じていなかった」と記した。
その後、パチーノは数々の映画に出演して成功を重ねる一方、スタッフの数も次第に増えていった。プライベートでは、元恋人ジャン・タラントさんとの娘ジュリーさん(34)、元恋人で女優ビヴァリー・ダンジェロとの双子の息子アントンさんと娘オリヴィアさん(ともに23)をもうけたため、3人の子どもの養育費も必要になった。
「私のスタッフは増え、2軒の家とアパートメント、オフィスを管理し、子どもたちの家計を支えていた。私は月に30万ドル(約4500万円)から40万ドル(約6千万円)を費やしていた。それはかなりの額だった。」
しかし2011年までに、パチーノは自身の会計士を疑い始めた。ある時、家族とのヨーロッパ休暇で大金を費やした後、米ロサンゼルスに帰国すると、以前よりも資金が増えていることに気付いた。
そしてパチーノは会計士の不正行為を知り、その会計士は最終的に投資詐欺の一種『ポンジ・スキーム』で有罪判決を受けて刑務所に服役した。その結果、パチーノは2度目の破産に陥った。
「私には5000万ドル(約75億円)があったのに、その後には何も残らなかった。所有物はあったが、お金がなかった。私が費やしたお金とその使い道は、まさに狂気のような無駄遣いだった。」
それらの支出の一部について「16台の車、23台の携帯電話、私が住んでいない家の造園料として造園業者への年間40万ドル(約6千万円)の支払いなどだ」と記し、こう続けた。
「私は自分の小切手に署名さえしなかった。会計士が署名して、私はそのままにして見ることもなかった。会計士は、私がいくら持っていて、そのお金がどこに行くのか教えてくれなかった。私は自分のお金の出し入れを記録していなかった。」
「(会計士は)こういうことだったんだろう。『お金の出し入れについてはこっちで記録しておいて、この愚かな俳優を満足させておこう。とにかく働かせ続けよう、そして入ってくる金はいただきだ』とね。」
その後、パチーノは生活費を稼ぐため、アダム・サンドラー主演のコメディ映画『ジャックとジル』(2011年米公開)にカメオ出演し、「ダンキンドーナツ」の架空CMでラップや踊りを披露した。同書ではタイトルに触れていないが、「本当にひどい映画」に出演したとも明かした。
パチーノは人生で何度も経済的な苦境を経験した結果、今は財産管理に集中できるようになり、自分よりも「はるかに賢い人々」の助けを借りるようになったと告白した。
昨年6月には、元恋人でTV・映画プロデューサーのノア・アルファラさん(30)が、パチーノとの息子ローマンくんを出産。パチーノはその後、ローマンくんに毎月3万ドル(約450万円)の養育費を支払うことに加え、教育費や医療費なども負担することに合意している。
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)