海外発!Breaking News

writer : tinsight-masumi

【海外発!Breaking News】従兄弟に腎臓を提供した男性に総額160万円超の移植手術費の請求が届く(米)

「こちらで対応します」との返答があり安堵していた。だがその後、過去に加入していた保険会社から「検査費用として934ドル(約10万7000円)の請求を受けた」という通知があったそうだ。彼は再び病院に連絡を入れたにもかかわらず、今度は9月下旬に1万3064ドル(約150万円)の請求書が届いたという。

驚いたエリオットさんだが、移植に関わる医療費は全てスコットさんの保険で支払われると知っていたため、病院に再度連絡をした後、請求書の件についてさほど心配することもなくそのまま生活していたようだ。ところがその1か月後にまたもや請求の通知があり、さらに12月6日には「最終通告! あなたは不良債権者とみなされます」と書かれた書類が届き、「支払いに応じなければ督促状を送るなどさらなる回収活動を行う」といった警告が書かれていた。

1万3064ドルもの請求書(画像は『ProPublica 2022年2月11日付「He Donated His Kidney and Received a $13,064 Bill in Return」(Credit:Andri Tambunan, special to ProPublica)』のスクリーンショット)

請求書は全米の病院に麻酔などのサービスを提供している「NorthStar Anesthesia」からのものだった。エリオットさんは次々と送られてくる請求書により自分の信用に関わる事態となったことで、ストレスが溜まる一方だった。またエリオットさんの状況を知ったスコットさんも、命の恩人に問題が降りかかっていることに心を痛めていた。

エリオットさんは病院と請求元の「NorthStar Anesthesia」の両方に連絡を入れ、「私は腎臓の提供者であり、この医療費を支払う責任は私にはありません」と訴えることしかできず、あとは彼らの返事を待つしかなかったという。ところが幸いにも、エリオットさんはTwitterで今回の理不尽な請求について訴えたところ、多くの目を引くこととなった。

エリオットさんの訴えが功を成したのか、1月19日になってNorthStar AnesthesiaのCFO(最高財務責任者)から「請求書は社で処理をした」との連絡を電話で受けたそうだ。また翌日、同社から「請求書の責任を負う事は一切ないとし、回収活動の対象になることはなく、エリオットさんの信用が傷つくこともない」と記載したメールが送られてきたという。

同社の最高財務責任者であるケイト・ステッツ氏(Kate Stets)は「この件に関してお客様に混乱と心配をおかけしたことを弊社を代表してお詫びし、完全に問題が解決したことをご報告申し上げます」と公表しており、どうやら今回の問題は同社が移植手術後に保険情報を受け取っていなかったため、エリオットさんにドナーとしてではなく通常の患者として請求が送られてしまったということだ。

なお全米腎臓財団の移植政策・戦略責任者のモーガン・レイド氏(Morgan Reid)は「生体ドナーは、臓器提供のプロセスにかかる費用のいかなる請求も受けるべきではない」と述べている。

画像は『ProPublica 2022年2月11日付「He Donated His Kidney and Received a $13,064 Bill in Return」(Credit:Andri Tambunan, special to ProPublica)(Courtesy of Elliot Malin)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

移植手術時のエリオットさん(右)とスコットさん(画像は『ProPublica 2022年2月11日付「He Donated His Kidney and Received a $13,064 Bill in Return」(Courtesy of Elliot Malin)』のスクリーンショット)

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