次のように続けた。
「『21ブリッジズ』は大きな予算が投じられた作品だった。ハリウッドの(男女間の)賃金格差は周知の事実だけれど、制作サイドは私が提示した報酬額には、首を縦に振ってくれなかったわ。もともと仕事に復帰する意欲は薄れていたし、ちょうど娘の学校が始まるっていうタイミングだったこともあって、私は『きちんと見合った報酬をいただけるのなら、出演します』って伝えたの。」
「結局、チャドウィックが自分の報酬の一部を寄付してくれる形で、私の提示額にマッチしてくれたのよ。これが君にふさわしい金額だからって言ってくれたの。あれは人生始まって以来の衝撃的な出来事だった。そんなことって滅多に起こらないから。『君が実力に見合った報酬を受け取る、それだけのことだよ』ってね。」
男女格差の激しいハリウッドにおいて、チャドウィックのような一流俳優が率先してそのような行動を取ってくれたことを「本当に想像しがたいこと」だと今でも驚きを隠せないようだ。しかも後日、このエピソードを別の俳優仲間に明かしたところ、彼らは「ダンマリしてしまった」という。
チャドウィックのそんな“オトコマエ”な行動は、単なる“パフォーマンス”ではなかったはずだ。あくまでも女優としてのシエナの実力を高く評価していたからのことであり、これがハリウッドの男女格差の現実に一石を投じたことは間違いないだろう。チャドウィック・ボーズマンという偉大な俳優を失ってから1か月が過ぎたが、彼のリアルなヒーローぶりが垣間見えるこのエピソードには、多くのファンも胸を熱くしているに違いない。
画像1枚目は『Empire Magazine 2020年9月25日付Instagram「The new issue of Empire pays tribute to Chadwick Boseman, featuring personal remembrances from his collaborators, revisiting his iconic roles, and his Empire interviews.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)