英ブリストルのフィッシュポンズに住むミカ・ヒロセさん(41歳)は、4歳と5歳の息子を持つシングルマザーだ。5歳のマコネン君は、「sensory processing disorder(感覚処理障害)」という自閉症スペクトラムを患っている。
感覚処理障害というのは、感覚を通して脳に伝わる全ての情報に対する受け答えが困難になる症状で、マコネン君の場合は突然予期せぬ大声や音を発し、手を叩き、頭や体を壁に打ち付けるなどの行動を起こすことがあるという。
ミカさんはある日、コールド・アシュトンまでマコネン君をセラピーに連れて行くためにバスに乗っていた。ミカさん曰く、マコネン君は機嫌が良くバスの中で歌ったりハミングをしていたそうだ。やがて60代と見られる老夫婦がミカさんとマコネン君の席の前に座り、女性の方がマコネン君に話しかけてきた。
ミカさんは、マコネン君が自閉症であることを伝え、限られた言葉しか話せないため会話を続けることが困難であることを説明した。しかしその後、普段から動物が大好きだというマコネン君は、動物の泣き声をハイピッチで発し始めた。
するとカップルの男性が、マコネン君の真似をしてからかい「君は動物園にいるべきだ」と発言した。その一言はミカさんの心をひどく傷つけた。「その男性にどうして息子にそんなことを言ったのか今は聞きたい心境です。息子が自閉症だと伝えた後で、そのようなことを言われたのでとてもショックです。まるで自閉症の子供を差別しているように思えました」と話している。
ミカさんは、「自閉症の子供をからかうのが普通だという社会に生きているなら、これから息子が成長すれば、世間からどんな対応を受けるのでしょうか」と不安を隠せない様子だ。しかしミカさんは、マコネン君に向かって心無い一言を発した男性を批判するよりも、この一件を愛を持って世間に伝えたいと願っているという。そして各紙で自閉症の理解をもっと深めることが大切だと、ミカさんはこのように思いを伝えている。
「誰も、アウトサイダー(社会の常識枠にはまらない人たち)のような気分を味わうべきではないと思います。みんな、感じる心を持っているのです。自閉症だったり、話すことができなかったりしても関係ありません。大切なのは周りが理解して、互いにサポートし合うことです。」
他人には見えにくく理解されにくい自閉症スペクトラムの子供を持つ親は、常にこのような問題を抱えて葛藤しているといっても過言ではないだろう。ミカさんの訴えが世間に広まることを願いたい。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)