海外発!Breaking News

writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】「目が見えないのに子供を持つのは自分勝手」批判のなか自立を目指す2児の母(ニュージーランド)

ローレンさんは生まれつき白内障を患っていたが、後に緑内障を併発した。そして20歳の時、網膜剥離となり手術を試みたが視力は戻らず、左目は盲目となった。現在、その左目には義眼をつけている。右目は視野が狭く非常にぼんやりした状態でしか見えず、徐々に視力が低下しているという。

「白内障と緑内障を患っているので、いつ私の右目が完全に失明してしまうかはわかりません」というローレンさんは現在、ノア君(7)とサクストンちゃん(2)という2人の子供を育てている。

ローレンさんは、実は3年前まではヘアサロンで見習いとして働いており、今よりももっと活発で自立していた。ところが急激な視力の低下により仕事をすることが困難になってしまった。

自身の障がいが原因で、仕事を辞めざるを得なくなってしまった状況はローレンさんを激しく落ち込ませた。次第に家に閉じこもるようになり、外出することもなくなってしまう。家から一歩出るだけでも億劫に感じてしまうようになったローレンさんは、このままではいけないと考え「The Blind Foundation(盲人協会)」に連絡を取り、杖の使い方を教わった。

ローレンさんは、杖を頼りに外出する機会を徐々に増やしていった。ただ、目の不自由な彼女にとっては、子育てや日常生活においても毎日がチャレンジだ。

そんなローレンさんにとって最も困難なことは、公共の場で見知らぬ人から批判を受けることだという。これまでに「目が不自由なのに子供を持つのは身勝手だ」「子供がかわいそう」という声を頻繁に耳にしてきた。

家の中は光をたくさん取り入れて明るくし、家具の形や色をわかりやすいように変えているために、ぼんやりしか見えない程度の視力でも見分けがつくそうだ。しかし、一歩家を出ればそうはいかない。

公共の乗り物や買い物の際など、幼い子供を連れて出ることはローレンさんにとっては大きな試練である。特に2歳のサクストンちゃんが疲れてバスの中でうるさく騒いだ場合は、子どもの態度が悪いと批判されてもどうすることもできない。車を運転することができないローレンさんにとっては、バスが唯一の交通手段だからだ。

「家も欲しいし、子供たちに必要なもの全てを揃えてあげたい」とローレンさんは言う。「まだまだ失明するわけにはいかない」という気持ちを持ってはいるものの、やはり将来に対しての不安はぬぐえない。いまだに周囲からの批判は続いており外出を躊躇う時もあるが、夫の収入に頼っているだけではなく、また自立して仕事ができるようになりたいとローレンさんは語る。

ローレンさんのニュースを知ったネットユーザーたちは賛否両論で、「失明してしまったら小さい子供の子育てはどうなるの。どうして(子供のことを)考えないのか」と非難する声もある一方で、多くは「他人がどうこう批判すべきことではない」とローレンさんを擁護している。

障がいを持つ本人が、子育ての大変さ、将来への不安を一番よく分かっていることだろう。目の不自由な母親を持つ子供が「可哀相」かどうかは、子供本人にしかわかり得ないことだ。他人からの批判が消えない社会で、ローレンさんのチャレンジは今日も続いている。

出典:http://www.stuff.co.nz
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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