オーストラリア・クイーンズランド州で23日、バックパッカー向けの宿泊施設においてフランス国籍の男が刃物を手に客を次々と切り付け、英国籍の客2名が死傷した。「神は偉大なり」と叫んでいたことが分かっている。
クイーンズランド州警察のスティーヴ・ゴルシェウスキー副長官の会見によれば、事件が起きたのはタウンズヴィルから100kmほど南東に位置する沿岸の町ホームヒル(Home Hill)で23日午後11時ごろ。事件現場は若いバックパッカーが集まる「Shelley’s Backpackers」という宿泊施設だという。
この事件で死亡した女性は英ダービーシャー出身のミア・アイリッフ=チョンさん(21)。英国籍の30歳の男性も重傷を負って「Townsville Base Hospital」に搬送されたが容体は深刻で、地元の46歳の男性が軽傷を負ったほか1頭の犬が刺されて死亡している。
その後、殺人容疑で逮捕され身柄を拘束されたのはフランス国籍の29歳の男(それ以上の情報は明らかにされず)。アラビア語で“神は偉大なり”を意味する「アラーアクバル」と叫んでいたという情報があり、イスラム過激派組織の指示や影響を受けたいわゆる一匹狼(ローンウルフ)型のテロではないかと懸念されたが、ゴルシェウスキー副長官は「薬物乱用や精神的な問題を抱えている可能性を視野に、犯行動機について慎重な取り調べを行っている」と述べるにとどめている。
ミアさんはバリ島での有期労働契約を終えてからオーストラリア入りし、ゴールドコーストのラウンジバー「Bedroom Lounge Bar」でウェイトレスとして働いた後、事件の3日前からはホームヒルの農場で働いていた。クイーンズランド州はワーキングホリデービザを取得して果実の収穫などの農作業に就く若者が非常に多いが、ミアさんは親しみやすい明るい性格で誰からも愛されていたもよう。一方、容疑者はテンポラリーワーク(短期特定活動)ビザで今年3月に入国するも、農家など地元の人々との接触を持つことはなかったという。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)