高齢者が増えている日本。総務省の資料によると平成27年9月15日現在で高齢者(65歳以上)の人口は3384万人、総人口に占める割合は26.7%とともに過去最高を記録した。「終活」という言葉も耳馴染みになったが、近年ではこれまでの形式にこだわらず、家族ではなく血縁関係のない人と墓に入る“墓友”や、遺骨をロケットに載せて宇宙へ送る“宇宙葬”も登場している。そんな中、「故人の供養に対する方法はもっと他にもあるのでは」と起業した女性がいるのでご紹介したい。
その女性、大島泰子さんは、幼少の頃にテレビで見た歌手“ザ・ピーナッツ”が着ているロングドレスの衣装に憧れ、「いつかは自分も着てみたい」と新聞紙をドレスの型紙のように切って遊んでいたという。そんな大島さんは時を経てアパレルや起業家として従事、一度は一線からリタイアするも昨年6月に「Yasuko De Memorial 株式会社」を設立した。
同社を立ち上げたきっかけは、自身における故人との向き合い方や亡き両親の仏壇の継承問題だった。「これからの時代もっと自分と同じようなことを悩む人たちが増えるのでは」と考えた大島さんは、「故人の供養に対する方法はもっと他にもあるのではないか」という思いから、これまでに身につけたデザイン力を活かし、メモリアルオーナメント『恋 TSUBO(恋つぼ)』シリーズ(カタログ販売限定、公式サイト https://www.yasuko-de-memorial.co.jp/)を企画、誕生させたのだ。
『恋 TSUBO(恋つぼ)』は故人の遺灰や散骨を納められるメモリアルオーナメントだ。デザインはオリジナルで、繊細な加工技術によりひとつひとつ手作りされている(特許出願中)。金箔や銀箔などのコーティングは、昔ながらの技を受け継いだ金沢の職人が卓越した技術で箔押し、スワロフスキーのストーンは、クリスタルアーティストが1粒1粒丁寧に微調整しながら仕上げる。
この美しくきらびやかなオーナメントの壺穴部分や約1cmの「恋TSUBO真珠」に自身で納骨する。納骨しやすいように、壺さじや漏斗などのメンテナンスキットが付属している。
バラの花の装飾が印象的な「Love Memory」(ラブ・メモリー)は、高さ13cm、直径10.3cm。一見して故人のお骨や遺灰が納められているとは想像できないため、リビングなどに置いても遜色なく、いつも故人を近くに感じることができそうだ。これには「大切なことは、故人を忘れずに 日々の暮らしの中で想い出し、語り繋いでいくこと」という大島さんの思いが込められている。
高齢化社会が進む中、大島さんのように、自身が家族や大切な人との別れを経験することで、故人との向き合い方を改めて考える人もいるだろう。その際には故人と自身にふさわしい最良の選択をしたいものだ。故人や家族の要望に応えて人生の締めくくりにまつわる選択肢は、今どんどん増えている。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)