1969年のクーデターで政権が誕生し、日本では“カダフィ大佐”の名で世に知られたるも、2011年に反対勢力により殺害された元リビアの最高指導者ムアンマル・アル=カダフィ(=カッザーフィー)氏。その四男で野蛮なプレイボーイとして知られる実業家のハーンニーバール氏がレバノンで誘拐された。命からがら逃げ出したところを警察に保護されたという。
複数のメディアが伝えているところによれば、レバノンで10日、ハーンニーバール・ムアンマル・アル=カダフィ(カッザーフィー)氏(40)が誘拐された。犯人はシーア派世俗政党「アマル運動」のメンバーで銃を突きつけて誘拐。その後、世界遺産が複数登録されている古代遺跡の町バールベックにて解放され、ベイルートの安全な場所に移されたと警察は発表している。
犯人がレバノンのテレビを通じて公開した映像によれば、古参のシーア派指導者ムーサ・アル・サドル師がリビアに旅行した1978年、同伴者2名とともに行方不明となっていたことについて彼らはハーンニーバール氏に情報を提供するよう強く求めたもよう。サドル師はカダフィ大佐の命令によりリビアで暗殺されたという説が根強く、サドル師失踪の一件により両国の関係は亀裂が入ったままとなっている。なおハーンニーバール氏の妻はレバノン人のアリーネ・スカフさん。彼女のもとを訪ねるところで誘拐に巻き込まれたという。
同氏はカダフィ大佐にとっては四男にあたる、第2夫人サフィーヤ・ファルカーシュさんが生んだ7人の子のうちの1人。大変な遊び人であるほか、傲慢で粗野な人物としても知られる。2008年には妊娠中の恋人に暴力をふるって有罪判決を受け、2009年には英ロンドンの高級ホテル滞在中に妻の顔に重傷を負わせている。そして2012年に母、兄ムハンマド、妹アーイシャとともにオマーンに亡命を申請し、2013年に政治活動をしなければよいという条件のもと、それを受け入れられていた。
カダフィ大佐の7男1女の中で、彼ほど“目立ちたがりのドラ息子”として嫌われている者も珍しい。2012年公開の米コメディ映画『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』はカダフィ大佐がモデルとなっていると主役の俳優が述べていたが、そのやりたい放題の傲慢でハチャメチャな気質とポルシェを飛ばす姿は、むしろ息子のハーンニーバールにそっくりだと世界中が苦笑したものである。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)