writer : sekihara

スターシェフの登竜門。半世紀続く『ル・テタンジェ国際料理賞コンクール』の日本代表が決定! セルリアンタワー東急ホテル・武智大輔氏。

今年も世界中の若手フランス料理人の登竜門と名高い『ル・テタンジェ国際料理賞コンクール』が11月23日にパリで開催される。9月8日には、日本国内の最終予選と表彰式が都内で行われた。1967年から続く同コンクールも今年で49回目。コンクールの名称にもなっているシャンパーニュメーカー『テタンジェ』から社長のピエール・エマニュエル・テタンジェ氏も来日し、ファイナリストや優勝者に惜しみない拍手を送った。

『第49回 ル・テタンジェ国際料理賞コンクール・ジャポン 2015 授賞式』が9月8日夜、都内ホテルで華々しく開催された。まず審査に関わったシェフたちが紹介され、続々とステージに上がった。次に48名の応募者から選出され、午前中に最終予選で腕を競ったシェフ8人が壇上に上がり、審査結果を待った。優勝したのはセルリアンタワー東急ホテル・武智大輔さん(東京都)。ファイナリストとして3回目の挑戦にて見事念願の頂点を掴んだ。「まさか1位になれるとは夢にも思わなかった」と驚きつつも、「最後まであきらめずにできた結果が1位で良かった」と嬉しさで顔をほころばせた。

見事に優勝した武智大輔氏

およそ半世紀という長い歴史を持つ同コンクールの名称にもなっている『テタンジェ』のピエール・エマニュエル・テタンジェ社長に話を聞いた。なぜシャンパーニュメーカーのテタンジェが料理コンクールを手がけているのだろうか。

――料理コンクールを手がけることになったいきさつを教えてください。
テタンジェ氏:パリの中央市場の責任者であった私の祖父が、有名な美食家でした。そのため家族の中にもガストロノミー(美食学)に対する伝統が常にありました。このコンクールはその祖父に敬意を表し、父が創設したものです。

――コンクールの特色を教えてください。
テタンジェ氏:このコンクールは、2つの性格によって有名になりました。まずひとつは非常に難しく簡単に獲れる賞ではありません。もうひとつは真剣に真摯に取り組まなければならないということです。また、このコンクールは、テタンジェ家によって財政的なバックアップはしていますが、競技の内容にはテタンジェ家は一切関わっていません。すべてシェフたちによって点数が決められています。

――『テタンジェ』はシャンパーニュメーカーと聞いていますが、シャンパーニュはどのような料理に合いますか?
テタンジェ氏:シャンパーニュはすべての料理に合うお酒だと思っています。フランス料理、日本料理、中華料理、あるいは香辛料が効いたインド料理にも合いますね。というのは、シャンパーニュは泡が存在することによって、口の中がリフレッシュしますし、泡が非常に細かいので消化を助けてくれるのです。

テタンジェのシャンパーニュがふるまわれた

――日本の印象はいかがですか。
テタンジェ氏:20回以上訪日していますが、(ともにテタンジェに携わっている)娘や息子も日本が大好きです。ヨーロッパの人にはまだ日本はビジネスの場であるというイメージがありますが、私はよく「日本は世界の中とは違うところにある惑星だ」と言います。それだけユニークで特別な存在だと思っています。日本人が“お互いのことを尊敬して共生するという意識”を持っているのが素晴らしいと思います。また東京も大きな街ですが、東京の街自体が控えめな表情を見せていますね。

ピエール・エマニュエル・テタンジェ氏の隣には、娘のヴィタリー・テタンジェ氏。

写真撮影に気さくに応じてくれたテタンジェ氏は、娘でテタンジェのキャンペーン広告にも登場しているヴィタリー・テタンジェ氏のディスプレイの横に立ち、「旅するときはいつも、こうやって娘と一緒なんだ」とにこやかに笑った。

1位の武智大輔氏(中央)、2位の兵頭賢馬氏(左)、3位の岸本一完氏(右)

優勝した武智大輔さんは11月にパリで開催されるファイナル、『ル・テタンジェ国際料理賞コンクール・アンテルナショナル』に日本代表として出場する。これまで日本人シェフは1位が1人、2位が1人、3位が7人という成績を収めており、今回も活躍が期待される。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)

スターシェフの登竜門。半世紀続く『ル・テタンジェ国際料理賞コンクール』の日本代表が決定! セルリアンタワー東急ホテル・武智大輔氏。