運動会の目玉のひとつである、組み体操の「人間ピラミッド」。昨今ではピラミッドが高層化する傾向で、兵庫県のある中学校の体育大会では10段のものまで登場したという。だがピラミッドが高くなるにつれて事故も増加、中には後遺症が残るケースも出ている。朝の情報番組『モーニングバード!』でこの話題を取り上げたのだが、危険を冒してでも高層型「人間ピラミッド」に挑戦する意味があるのかと、スタジオ内は激論となった。
これまで中学生で10段、小学生でも9段の「人間ピラミッド」に成功例があるという。そもそも授業の一環で行われる組み体操に、ここまで巨大化を求める必要があるのだろうか。
9月25日放送の『情報満載ライブショー モーニングバード!』(テレビ朝日系)では10段ピラミッドの生みの親であり、大学院で「人間ピラミッド」について研究した吉野義郎教諭による巨大化の意義を紹介。“高い目標を目指すことで生徒が得られる達成感”を強調し、危険であるとの指摘には“スポーツには怪我がつきもの”だと一蹴した。
だが名古屋大学の内田良准教授は高さと土台にかかる負荷の問題から、“巨大化が続くなら、組み体操は止めた方が良い”とまで発言。見栄え重視で生徒の安全性を考えていない―と厳しい反対意見を述べた。実際に2012年には全国の小学校で組み体操による事故が、6533件発生(部活を除く)。後遺症の残る事故は2012年までの10年間で、20件発生しているという。※日本スポーツ振興センターによる統計。
『モーニングバード!』のスタジオでは、本人たちに参加の自由が許されない状況で高層型「人間ピラミッド」への挑戦を強制することに反対だとする意見が、男性出演者に多かった。タレントの松尾貴史は“みんなで1つのことをするのが素晴らしいと思う人と、そうでない人もいる”とし、「本人たちが選択できるなら良いけど」と慎重に話す。また昔から団体行動が苦手だったという玉川徹は「人間ピラミッド」が成功したことで、協調性が身に付くという意見に納得していないようだ。
一方で母親でもある宮田佳代子は、自分の子どもも小学6年の時「人間ピラミッド」に挑戦したが、「体育だけを教えてるんじゃなくて、集中力などいろんなものを教えていくのにすごく良い場だと思うんですよね」と必ずしも反対の立場ではない。“協力し合っての団体行動を学べる良い機会だった”と「人間ピラミッド」を行うことに賛成の意見は、街の母親からも複数出ていた。ただ宮田も段数は3段くらいまで―と、高層化には反対だった。
番組MCの羽鳥慎一は以前に間近で見たことがある、体育大学の学生の巨大「人間ピラミッド」は感激ものだったと語る。学生の一体感が素晴らしかったそうだ。ただスタジオの出演者からは、自分が「人間ピラミッド」に参加した経験談が語られることはなかった。そして実際に高層型「人間ピラミッド」に挑戦した子どもたちの本音、指導する教師がどれだけこの種目について勉強しているのかも聞きたい。何より組み体操で負ったという後遺症が残るほどの怪我についても、もっと知り、考えたいものである。
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(TechinsightJapan編集部 みやび)