大阪市教育委員会が問題生徒らを隔離する「特別教室」を設置する指導案をまとめた。バラエティ番組『ワイドナショー』でこの件を取り上げると、同番組に出演していた中居正広は「僕はたぶん授業妨害していた方だった」と自身の学生時代を振り返った。彼はアンケートに「もしこれがあったら、自分も隔離されていた(笑)」と回答しており、大阪市の指導案には疑問を感じているようだ。また、番組コメンテーターの松本人志は“児童生徒の問題行動レベル”への大胆な提案で周囲を笑いの渦に包んだ。
悪質な問題行動を繰り返す生徒を在籍する学校から隔離。1か所に集めて指導する「特別教室」を設置するという指導案を大阪市教育委員会がまとめた。また、6月10日の協議会では橋下徹市長も指導案について了承しており「問題のある生徒の行為で、真面目な生徒がバカをみることはあってはならない」と発言している。
6月15日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)でもこの件について討論した。
番組では、今回のような指導案にいたった経緯について、大阪市の中学校校長による「生徒が教師に対して、肩が触れただけで『暴力やな、教育委員会に言って、お前をクビにしてやる』と言ってくる状況で、教師にも悩みを抱える者が多い」との報告など、さらに具体的な実態にも触れている。
中でも出演者の関心を引いたのが指導案にある『問題行動への対応マニュアル』で分類された“レベル1”~“レベル5”までのランク分けだ。
“レベル1”には「無断欠席、服装頭髪違反など」の問題行動が示されており、“レベル3”の「喫煙、暴力、バイクの無免許運転など」までは校内対応となる。“レベル4”「傷害行為、窃盗、危険物・違法薬物所持など」、“レベル5”「重度の傷害行為、凶器所持、放火など」は校外対応となり、警察や児童福祉施設も関わる。この2つのレベルが“特別教室”の対象となる。
松本人志は「簡単に言うと、反対かな」と主張しており、「レベルに段階分けすると中学生とかは『俺はレベル4までいったで!』と面白がるかも。システムはともかく“レベル”という呼び方が良くない」と理由を説明する。その説には中居正広や東野幸治らも共感しており、特に男子学生の心理をついているようだ。
さらに、松本が「ダサイ呼び方だったら笑われたくないから生徒も嫌がる。ネーミングを“えんどうまめ”とか“さやえんどう”、“おいなりさん”にするべき」と提案すると、共演者からも大ウケしておりフリーアナウンサーの渡辺真理などは涙をためて笑いをこらえていた。
また、中居正広はレベル分けについて、苦笑しながら「僕はどのレベルか分からないが、たぶん、授業を妨害していた方だったと思う」と学生時代を振り返っている。事前アンケートには「もしこれがあったら、自分も隔離されていた(笑)」と書いていたほどだ。
そこで、レベル分けについて具体例が示された。“レベル2”では「始業のチャイムが鳴っても、生徒が廊下でボールを蹴り遊びをやめない。教師が教室に入るように促すと暴言を吐いた」というものだ。これには中居が「いや、それはみんな(経験が)あるんじゃないすか」と周囲を見回した。
さらに“レベル3”について「授業中に集団で奇声をあげながら廊下を走り回ったり、器物破損を続けたりする生徒に、教師が指導に入るが収まらない。制止する教師に暴言を吐いたり、暴力をふるったりした」と具体例が示された。
今度は松本が「僕は、奇声をあげてたんですけど、(集団でなく)個人であげてたからね」とさらにたちが悪いと笑っていた。
中居正広は「これは、生徒に迷惑がかからないためということですか? でも、そういう悪い子がいるからいい子たちも、反面教師として学ぶんじゃないかな」と主張すると、東野から「授業にならないんですよ。一生懸命に勉強している子には時間が限られている」と指摘される。
だが、中居はさらに「どの時代にも悪い子はいますけど、そういう子たちはまだ将来が暗いわけではない。僕も、勉強する方ではなかったが、ここまでちゃんとなりましたし…」「こういう子たちがいて、いい子が際だつ。いろんな人がいていいと思う」と隔離する必要に疑問を呈した。
中居は中高生時代に「先生を苗字だけで『田中っ! 次、何ページだ? 田中?』と呼んでいた」という。松本も「“先生”なんて恥ずかしくて言えなかった」そうだ。
そんな中居正広の発散したいエネルギーはどの時期に収束したのか。彼は「SMAPになってから。15歳でSMAPに入ったので16~17歳くらいまでは名残があった」と明かしている。「悪い子は自分たちが悪いことをしていると分かっているからね。後々、時間が経てばちゃんとなると思う」というのも自らの経験による意見だろう。
他にも映画監督の木村大作氏は「体罰と呼ぶのがいけない。時にはげんこつによる指導もあるべきだ」と自身がそうして学んだことを振り返りながらも、「でも、これをテレビで言っちゃまずいんだろう」と気にしていた。
さらに渡辺真理が、「新しい制度には必ず、賛否両論がある。昔と比べて暴力の質が違うとなった場合。そういう子たちを集めて、例えば木村監督のような『こいつらには俺が立ち向かう』という先生がいたとしたら、その子たちの人生って凄いものになる可能性もある。もし、橋下市長が責任をもって『この子たちに対していくんだ。育てていくんだ』という姿勢で制度を活用すれば反対意見もなくなるのでは」と持論を展開した。
ドラマ『3年B組金八先生』の第2シリーズ「腐ったミカンの方程式」で金八先生が「私たちはミカンを作ってるのではない、人間を作っているのだ!」と訴えたのは30年以上前のことだ。その名言も響くことのない時代となりつつあるのだろうか。大阪市ではこの指導案について、来年度からの制度導入を目指すという。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)