4月に入り新番組が続々と放送を開始しているが、今田耕司・立川談春・壇蜜の3人が司会を務めるバラエティ番組は“落語”への興味をそそられるものとなっている。そこには、ある画期的な演出が施されていた。
『噺家が闇夜にコソコソ』(フジテレビ)は、3月31日深夜にレギュラー放送第1回目が放送された。今田耕司と立川談春の“同い年”コンビに壇蜜が加わった、計3人がMCを担当するこの番組は「人気落語家が世間で話題となっているニュースの関係者たちに直接取材を行い、そこで得た情報をひとつの“噺”として披露する」という内容だ。
この日の放送では、まず立川談春が元フィギュアスケート選手の中野友加里への取材を基に完成させた「浅田真央を支えたスケート界のレジェンド『佐藤信夫~リトル・マンモス~』の噺」を行った。その後、春風亭一之輔が最近話題となっている“ウサギの2円切手”を描いた人物への取材で得た情報を「カワイすぎる2円切手制作のウラ側『~デザイナーが小さなキャンバスに込めた想い~』の噺」として披露した。また番組内には若手落語家たちによる「ニュース大喜利」のコーナーも設けられているなど、落語を前面に押し出した構成となっている。
『笑芸人VOL.2』(2000年、白夜書房)によると1966年の5月当時、寄席演芸番組は週に34本もレギュラー放送されていたという。それからおよそ48年が経過した2014年現在でレギュラー放送されている寄席演芸番組といえば『笑点』(日本テレビ)や『演芸図鑑』(NHK)などがあるが、当時と比べるとその数はかなり少ない。この要因のひとつとして、視聴者がテレビ番組において“ひとつの芸をじっくり鑑賞する”だけでなく“ショートネタをたくさん見る”ことも楽しむようになったことが挙げられるだろう。そのため、最近ではテレビで落語家たちの“話芸”に触れる機会は非常に限定されている。
そんな状況の中、今回レギュラー放送がスタートした『噺家が闇夜にコソコソ』は寄席演芸番組ではないものの、落語の面白さを改めて感じさせる内容だ。“落語家が話題のニュースの取材と発表をする”という画期的な演出により、視聴者は短い時間で“落語家の巧みな話芸”を堪能できる上に“最近のトレンド”もあわせて知ることが出来るようになっている。これまでとは違った方法で落語家たちの魅力を存分に伝える『噺家が闇夜にコソコソ』が、今後どんな展開を見せていくのか大いに注目したい。
(TechinsightJapan編集部 TORA)