長年にわたり子どもたちに愛されてきた絵本『ぐりとぐら』は、2013年に誕生50周年を迎えた。この絵本の作者で児童文学者の中川李枝子さんは元々保育士であり、当時は“子どもを喜ばせる保育”を目指して日々試行錯誤を重ねていたという。たくさんの絵本を子どもたちに読み聞かせしていたが、大人気だったのが『ちびくろサンボ』。この絵本が『ぐりとぐら』誕生のきっかけとなったのだ。
3月7日の『情報満載ライブショー モーニングバード!』(テレビ朝日系)“週刊人物大辞典”のコーナーでは現在、東京・中央区の松屋銀座で開催中の「誕生50周年記念 ぐりとぐら展」(3月10日まで)の紹介と作者の中川李枝子さんへインタビューした様子が放送された。
中川さんの保育士時代、虎が溶けてできたバターでホットケーキを焼く物語『ちびくろサンボ』は子どもたちに大人気で、朝から「今日は何回読んでくれるの?」とせがまれるほどだったそうだ。
『ちびくろサンボ』以上に子どもたちが夢中になれる絵本を描きたいと思い、“向こうがバターとホットケーキなら、こちらは卵とカステラで”との設定から始まったのが『ぐりとぐら』。「私の仕事は子どもたちの創造力を豊かにすること」と語る中川さんの絵本作りの原点が、ここにあるのだ。
アニメ界の巨匠・宮崎駿監督は「中川さんと同じ時代に仕事ができたことは、本当に幸せなこと」と語るほど、彼女を尊敬し影響を受けているという。親交の深さは宮崎監督の依頼で映画『となりのトトロ』のオープニングテーマ“さんぽ”を、中川さんが作詞していることにも表れている。その宮崎監督が中川さんから学んだ一番大切なこととは、「何か教訓になること、ここで成長するようにとか、そういうこと無しで良いんだ」だと話している。
“子どもに喜ばれること”だけを考えてきた中川さんの創作活動のポリシーは、「童話に教訓はいらない」。何かを教えるのではなく、読んでいる子どもが本の世界に入り込んで何かを感じとってもらえる物語が大事ということである。『ぐりとぐら』では双子の野ねずみが美味しそうなカステラを作って、大勢の仲間と一緒に食べる。“カステラはどんな味だろう”と想像するだけで、ワクワクしてしまう子どもたち。そんな時の笑顔が中川さんは大好きなのだ。
(TechinsightJapan編集部 みやび)