台湾では、結婚式の日に「禮車」と呼ばれる赤いリボンで飾った高級車で新郎が花嫁を迎えに行く風習がある。大安などの日には街でよく見かける風景だが、この高級車を霊柩車に代えて結婚式を行ったカップルがいた。

9月29日、新北市新荘区で赤いリボンが結ばれたリムジン霊柩車6台が街を走り、道行く人々の注目を集めた。霊柩車での結婚式を行ったのは、道士の男性と納棺師の女性のカップル。日ごろから生死に対して冷静に向き合っている2人は、「自分たちだけの特別な結婚式を」と考えたときに、霊柩車を思いついたそうだ。両家の家族からも賛同が得られたため、この風変わりな「霊柩車禮車」が街を走ることになった。

「霊柩車禮車」を目撃した人たちの反応は「かっこいい」、「チャレンジャーだね」と意外にも好評であった。新婦の家族や友人によれば、霊柩車後部の棺が載せられる部分は一切使用していないそうで、後部のドアは開けず、死者への礼儀は守った上で行われたという。

新郎新婦は「伝統的な風習にはとらわれず、楽しく祝いたかった」と話しており、思い通りに「特別な結婚式」が挙げられたことを喜んでいた。
（TechinsightJapan編集部　片倉愛）