25日、男性がビルの12階から4階建ての民家の屋上に転落する事故が起きた。警察と消防は救助に向かったが、この家の住民が家の中を通って男性を搬送することを拒否し、搬送が遅れた男性は死亡した。世間では家の住民に対する非難と、強行措置を取らなかった警察と消防に対する批判の声があがっている。

『蘋果日報』が伝えたところでは、亡くなったのは37歳の男性。25日午前8時頃、基隆市の住宅地で12階建てのビルの屋上から隣の4階建ての民家の屋上に転落した。“ドン”という大きな音に驚いた家主の男性（70代）が様子を見に屋上へ向かうと、血を流して倒れている男性を発見、警察に通報した。

現場に駆けつけた警察と消防は、家の中の階段を通って屋上に行き転落した男性を担架に乗せて運ぼうとしたが、家主の息子（40代）が「父が家の中を通すなと言っている」と言い、屋上の扉を閉めてしまったのだ。当時男性は心肺停止状態で、屋上に閉じ込められた警察と消防ははしご車を要請、心臓マッサージをしながら到着を待った。約40分遅れて病院に搬送された男性は午前9時頃、死亡が確認された。

搬送経路の協力を拒否したことについて、家主の男性は「家の中に霊が残ると困る」と話し、息子は「もう死んでいると思ったし、家の中を通ったら子どもが怖がる」とコメントした。

警察の調べによれば、転落した男性はうつ病を患っており1か月ほど前に警備員の仕事を辞めていた。事件直前はひとりでビルの屋上に向かったことがわかっており、男性のポケットからは家族にあてた遺書と思われるメモも見つかったということだ。
（TechinsightJapan編集部　片倉愛）