作家、博物学者、翻訳家、妖怪評論家、タレント…。たくさんの肩書きを持つ荒俣宏(65)の知識の源は、膨大な量の読書にある。彼の奥様によると自宅には5000冊ほど保有していると言い、自宅に置ききれない分は老舗の古書店に預けているという。
2月21日放送の『オデッサの階段』(フジテレビ系)のテーマは、“荒俣宏のファンタジー”。彼が保有している本の中には、本来なら国立国会図書館や大学の図書館にしかない種類のものがあるのだ。例えばナポレオンがエジプトへ遠征した時の記録「ナポレオンのエジプト誌」は、畳よりひと回り小さいくらいの大きさで、個人が所有しているのは珍しいという。このような珍本まで荒俣は所有しているのだ。
出世作といわれる『帝都物語』はシリーズで350万部が売れ、映画化もされた。1億円を超す印税が入ったが、荒俣はそのほとんどを本につぎ込んだという。今は毎晩ネットオークションで3~4時間、世界中から買う。毎日最低でも10冊は購入しているらしい。購入した本を配達してくれる人が家に来ると、彼は嬉しくてワクワクするのだと話す。
人間の作り出した中で最も強い発明であると、荒俣は本の魅力を語る。子ども時代に二度の夜逃げを経験し、祖父がトラックにはねられ遺体の損傷が激しかったことなどが彼の大きなトラウマになっているそうだ。これらの経験から「この世には幸せなど存在しない」、「人生は諦めである」という信条が、荒俣の中にいつのまにか出来上がっていた。しかし本という存在が、この二つを打ち消してくれたのだ。
周囲から“好きなことをして収入を得て、あんな幸せな人はいない”と言われている荒俣。だが91歳の母親からは未だに、「今年は就職するんだろうね」と念を押されるのだという。大学卒業後、大手水産会社に就職しながら辞めてしまった息子の将来を、母は今も案じているのだ。
(TechinsightJapan編集部 みやび)