アフリカ発!Breaking News

writer : flynn

【アフリカ発!Breaking News】アフリカ大陸初。卵巣凍結・移植により妊娠。ガン患者に希望も。(南ア)

悪性腫瘍のため放射線治療を行った南アフリカのケープタウンに住む女性が妊娠した。彼女は、治療前に卵巣を摘出して一部を凍結し、治療後にその卵巣組織を移植して妊娠することに成功した。

11月21日の新聞によると、リーアンさん(28)の妊娠はアフリカ大陸初であり、世界でもおよそ15件しか例をみない。卵巣凍結・移植という技術により、子供は産めないと思っていたリーアンさんは現在妊娠11週目を迎えている。

3年前、当時25歳だったリーアンさんにホジキンリンパ腫という悪性リンパ腫が見つかった。治療方法は放射線治療、さらに彼女の場合は骨髄移植も行った。これらの集中治療により、彼女の卵巣はダメージを受け、妊娠するチャンスも奪われるとみられた。

当時リーアンさんの担当医だったポール医師は、当時としては数少ない南アフリカの生殖医学専門医。ポール医師は、放射線治療を受ける前に『卵巣凍結』という方法をとってみてはどうかとリーアンさんと話し合った。『卵巣凍結』とは卵巣のひとつを摘出し、健康な卵子が入った組織を凍結保存すること。リーアンさんの放射線治療が終了し、家族を作るという段階で卵巣組織を彼女の体に戻すという。将来子供が欲しいのならば、リーアンさんにはこれ以外に選択する道はなかった。

2009年3月、ケープタウンの生殖医療施設にてリーアンさんは左の卵巣を摘出、卵子を含んでいる外層を取り、さらに3~5ミリにスライスしたものを液体窒素でマイナス196度に急速凍結した。

「骨髄移植の間すべての頭髪が抜け落ち、2週間隔離されて非常に辛い時期だった。まるで死の谷を歩いているようだった。」というリーアンさんに、当時ボーフレンドだったアシュトンさんが「君に妻になってもらいたい。だから生き抜いてくれ。」と突然のプロポーズ。放射線治療も骨髄移植もやり遂げた彼女は、2010年晴れてガンを克服したことを医師から宣告され、2011年4月に2人は結婚した。

2012年7月、家族を作ろうと考えた2人は、ポール医師の元へ行き卵巣組織を移植してもらった。その2か月後、リーアンさんはめでたく妊娠、現在11週目だ。ポール医師も「クリニック初めての試みだったが、これほど早い妊娠とは」とびっくり。リーアンさんが若かったため卵子の質が良かったのも成功の要因のひとつだろうとのこと。

生殖能力を温存することにより、ガン患者の人に希望を与えることがあるそうだ。「卵子や卵巣組織を凍結保存することによって、将来の望みを持てる。放射線治療の辛い時期を乗り越える手助けとなっていることは否めない。」とポール医師は述べている。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)