ドラッグ依存の時期が多々あったことを認めている俳優のブラッド・ピット(48)が、米国政府が何十年と続けている麻薬撲滅に関する政策“War on Drugs”を批判した。彼ならどうやってこの問題を解決するというのか。
俳優ブラッド・ピットは、「有名になって行くことが恥ずかしくて、若い頃は部屋に引きこもりクスリ漬けになっていた」とかつて告白していた。だが『Interview』誌最新号に「何よりも大切なのは家族」と語るなど、近年は素晴らしいダディでありたいと強く意識している様子。6人の子供たちも順に思春期を迎えている今、ドラッグの捉え方も当然異なってきたようだ。
彼がエグゼクティブ・プロデューサーを務めた、『The House I Live In(原題)』というドキュメンタリー映画が12日にハリウッドで上映された。その壇上に立ったブラピは、マイクを握りしめて「米国政府が40年も取り組んできた“麻薬撲滅戦争(War on Drugs)”は、さも成功しているように報じられてきたけれど、実際は1兆ドルものお金を浪費した完全なる失敗」とその政策を強く批判した。
「ドラッグをやめてもう長いけれど、僕がひと言“欲しい”と言えば、州、市を問わず24時間以内にその種類のドラッグを入手する自信はある」とブラピ。つまり“War on Drugs”という政策はザルで、麻薬を栽培して精製する側、それを売る側、求める側のすべてがどんどん賢くなっているというのだ。
南米コロンビアやメキシコから流入する麻薬組織を潰そうとして、次々と逮捕者と死者を出した1970年代から続くこの“War on Drugs”。最近では、その政策について選挙でも教育現場でも話題に上らないことに触れ、「失敗している以上、教育現場でも選挙でもおくびにも出さない。その話題は永遠にタブーだろう」と語る。
そしてブラピは、「“War on Drugs”を終息させる方法はたったひとつ、このビジネスにおいて利益が発生しないようにするしかない」ことを強調した。ドラッグは栽培から売買まで常に利益が伴い、法外な儲けを得る者も多い。人々がそこに魅力を感じているうちは、この商売がすたれるわけはないのだ。だが政府が栽培して希望者に無料で配給することはあり得ない。「殺人」の事件数は減らせても、ズバリ「廃人」が増える。長期の愛好家であったブラピが頭を抱えて悩むこの問題、終息への道ははるか彼方といった感じだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)