ロンドン五輪では7月27日の開会式前にサッカー予選が25日から始まる。スポーツライターの乙武洋匡氏は女子サッカーなでしこジャパンを長年にわたり取材してきた。その彼も“ロンドン五輪の楽しみ方”について話す中で「イチオシは“澤穂希選手”だ」というほど彼女には注目しているのだ。
早いものでロンドン五輪の開会式が7月27日に迫った。サッカー女子の1次リーグ予選はそれを待たずに7月25日から始まり、日本はカナダと対戦する。初戦が間近に迫った7月22日にスポーツライターの乙武洋匡氏が福岡のテレビ番組『ナイトシャッフル』に出演してロンドン五輪について語った。
“ロンドン五輪を100倍楽しむ方法”というテーマで乙武洋匡氏が最も注目するのがなでしこジャパンの澤穂希選手だった。
これまでアトランタ、アテネ、北京でメダルに届かなかった澤穂希選手にとってロンドンは4度目の五輪となる。これまでアメリカでプレーした時代や結婚の為に引退を考えた時期、そしてケガや病気に苦しんだことなど乙武氏は彼女の努力をずっと見てきた。彼は「今回はおそらく最後の五輪になると思うと胸が詰まる」と澤選手の胸中を察した。
互いに交流もあり澤選手が乙武家に遊びに来るほどの間柄で、彼も「めちゃ仲が良いですね」というほどである。そのようにプライベートもよく知る乙武氏は彼女について「(酒は)飲むほうだが、先に誰かが酔うと『私がしゃんとせねば』と酔えないしっかり者タイプ。キャプテンですからね」と話す。彼はそんな澤選手の五輪での見どころはズバリ「人間性」だと言い切った。
10年ほど前になる。北朝鮮との決勝戦で前日に澤選手が足をケガしてしまい試合を欠場する判断をした。澤選手としては他のメンバーに試合を託す思いで決断したのだ。ところが夜中にチームメイトたちが澤選手の部屋に集まり、「あなたがたとえ一歩も動けなくても私たちが10人で戦うから試合に出て欲しい」とお願いに来たのである。
「あの出来事は忘れられない」と当時を振り返り感動する乙武氏は「背中でチームを引っ張る存在感」こそ澤穂希選手の魅力なのだと語った。
ロンドン五輪でのなでしこジャパンについては苦戦するとの見方も少なくない。だが、あのW杯優勝も予想以上の活躍で快挙をなし得たのだ。ロンドン五輪でも澤穂希選手とその背中を見て活躍する選手たちの姿を応援したい。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)