アフリカ発!Breaking News

writer : flynn

【アフリカ発!Breaking News】違法に国外に持ち出されたコイサン族の遺体。103年ぶりに故郷へ。いまだ150体以上がウィーンに保存か?(南ア)

南アフリカのコサイン族のカップルとみられる遺体が103年ぶりに故郷の土を踏むこととなった。ふたりの遺体は人種的科学を研究し、後のナチスの人種政策に影響を与えた人類学者の関係者の手によって1909年にオーストリアに違法に運ばれていたのだ。

4月20日、南アフリカの国旗が被せられた二つの小さな木製棺がルフトハンザ航空で南アフリカのORタンボ国際空港に到着した。実に103年ぶりの帰国となった。この棺の主は南アフリカの北ケープ州に住んでいたコイサン族のカップルで、103年前に彼らの死後、その遺体はオーストリアに違法に運ばれていた。

103年前、北ケープ州の農場に「農場労働者」として住んでいたカップルは、マラリア熱で死亡、農場に埋められていた。そこへある男性が訪れ、遺体を海外へ移送したいと言ってきた。この男性は、ルドルフ・ポッシュという有名なオーストリアの人類学者かつ民族科学者のもとで働いている人物だった。彼らは当時サン族の民族を研究しており、後のナチスの人種政策に繋がる人種思想の科学的証明をしようとしていたと言われている。カップルの遺体は掘り起こされ、樽に詰め、塩で満たすとオーストリアへ船で移送された。

コイサンカップルの遺体が秘密裏に運ばれたことが発覚したのは、はるか時を経て1990年代後半のことだ。南アフリカの歴史学教授2人がオーストリアを訪れた際、ウィーン自然史博物館でカップルの遺体の一部が展示されていたのを発見したのだ。体全てがきちんと保存されていたのは、少なくとも1961年までのようだと教授らは述べている。南アフリカのあるグループは、コイサンカップルの遺体を南アフリカへ戻すよう博物館と論争を始めた。

そしてめでたく4月20日、遺体は故郷へと戻ってきた。空港にはコイサン族の首長や子孫らが出迎え「我らコイサン族が南アフリカ最初の国民である。その先祖が、非道な研究目的で国を出てようやく故郷に戻ってこられた。今日は我々が悪魔に勝利をした日である。」と大喜びだった。しかし、この自然史博物館に保存されている南アフリカ人は50体ほど、ウィーン大学の人類学研究機関には今でも150体以上もの南アフリカ人の体の一部が保存されているそうだ。今回のコイサンカップルは、名前と掘り起こされた場所がわかっていたため取り戻すことができたという。

カップルの遺体は、北ケープ州の墓所で、ようやく安らかに眠りにつくことができる。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)