スターへの登竜門である『ヴィクトリアズ・シークレット』の厳しいオーディションを勝ち抜いて、09年から活躍しているモデルが、「下着でポーズをとるのは、クリスチャンの信条に反している」という、今時の若い女性には珍しい理由で「引退」することになり大きな話題となっている。
『ヴィクトリアズ・シークレット』の「エンジェルス」と言えば、ハイディ・クルムやジゼル・ブンチェン、ミランダ・カーなどスターを多数輩出して来たことで良く知られている。選ばれることだけで将来を約束されたようなものなのに、その現役「エンジェルス」の一人が、信仰心を理由に引退することになった。
彼女の名前は、カイリー・ビスッティ(21=写真)といい、カリフォルニア州出身のアメリカ人。09年に開かれたTV公開オーディション『Victoria’s Secret Model Search』で、1万人の候補者の中から1位を勝ち取った。同年にTV放映された同ブランド毎年恒例のファッションショーでデビューを果たした時は、弱冠19歳ですでに既婚であった。カイリーは「ヴィクトリアズ・シークレットは私の人生の中の最も大きなゴールで、キャリアの中で最も手に入れたかったもの。エンジェルスとしての仕事は大好きだった。」と『FOX411』に語っている。
しかし敬虔なクリスチャンである彼女、その後徐々に下着でポーズをとることへの違和感を持ち始めたという。「下着は洋服とは違う。私の信仰心のせいで、下着でポーズをとることが不愉快になってきたの。」と彼女。そればかりかカイリーは「私のボディは夫だけに見せるべきもの。そしてもっと神聖なものであるべきよ。」と思い始めたそうだ。また、「大きな夢が叶ったのに、辞めるなんてクレージーよね。でも、離婚率の高いアメリカで、私は自分の結婚を神聖なものに保ちたかった。」と、その保守的な価値観についてコメントしている。
彼女はまた、若いクリスチャン達への悪影響も懸念している。下着だけを身につけて、世の男性の前を歩き回るよりは「適切な衣服を身につけて人前に出て、若者が尊敬出来るロールモデルになりたい。」そうだ。
しかし、彼女はモデル業そのものをあきらめたわけではない。「下着」の部分だけを引退するそうで、衣服を身に着けてのモデルは続けるとのこと。例えばまもなく放映される米衣料品デパートの『Kohl’s』の新CMでは、ジェニファー・ロペスと共演しているほか、『CW』局の新しいTV番組にも出演が決まっているそうである。
では彼女の夫が下着でモデルをすることにジェラシーを感じていたのか、というとそうではないようで「彼は私のキャリア全てに協力的だった」とのこと。今回の引退は、自分自身で決断したもののようだ。極限までカラダを絞り、肌を出来る限り露出して、どうにかして有名になろうとするモデルが多い中で、実にもったいない決断をしたカイリーのことは、全米のメディアで大きな話題となっている。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)