米国で長期間続いた70年代の黒人ダンス音楽番組『ソウルトレイン』の創設者で、初代ホストのドン・コーネリアス氏が1日、自宅で死亡しているのが見つかった。享年75歳。警察では自殺とみている。

コーネリアス氏は1日早朝4時頃、カリフォルニア州シャーマン・オークスにある自宅で頭部を銃で撃ち、自殺を図ったと見られる状態で発見された。駆けつけた警察により、遺体はロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ病院に運ばれ、そこで死亡が確認された。

TV番組『ソウルトレイン』は70年にシカゴの地方局が放送を開始以後、翌年から全米で放映されるようになり、06年まで続いた長寿番組。コーネリアス氏はライター、プロデューサー兼ホストとして番組を世に送り出し、以後93年まで番組のホストとして活躍し続けた。

『ソウルトレイン』はジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリン、マイケル・ジャクソンといった黒人ミュージシャンに活躍の機会を与え、黒人音楽やダンスカルチャーを世界に広めるために、米TV史上で重要な役割を担った。また、番組には黒人ミュージシャンだけでなくエルトン・ジョンやデヴィッド・ボウイなど人種に関係なくビッグなアーティストも出演し、ヒット音楽を世に送り出すパイオニアとなった。また、若いダンサーを「ショーケース」する番組のスタイルは、現在アメリカに多数存在するダンスコンテスト番組の形成に、大きく影響を与えた。

音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズ（78）はAP通信に「友人で同僚、ビジネスパートナーだったドン・コーネリアスの突然の訃報にショックを受け、深く悲しんでいる。」とコメントしている。コーネリアス氏は2年前、ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューに答え、『ソウルトレイン』についての映画を企画していると語っていたという。企画の実現に向け、尽力したいとしていた彼に何があったのか、自ら命を奪うという大変痛ましい結末を迎えてしまった。心からご冥福をお祈り申し上げます。
（TechinsightJapan編集部 ブローン菜美）