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相談者の6割以上が高齢者。都が注意喚起。秋口に多い「褒め上げ商法」とは?

「あなたの作品はすばらしい!」「文芸書に掲載しませんか?」「展覧会へ出品しませんか?」…ある日突然、見ず知らずの相手からこんな電話がかかってきたら、要注意。それは、「褒め上げ商法」だ。不当な契約を迫られるケースがここ数年で急増しており、東京都が注意を呼び掛けている。

「褒め上げ商法」とは、俳句・短歌や絵画などについて文芸書への掲載や展覧会への出展を促し、強引に高額な契約を迫ろうとするもの。「あなたの作品は素晴らしい」「有名な評論家の先生があなたの作品を絶賛しています」など言葉巧みに作品を賞賛し消費者を惑わせていることから、都では「褒め上げ商法」と命名し注意喚起している。

契約を一度結ぶと、同様の勧誘が他社も含めて短期間に次々と入ってくるケースが多く、最初は無料と説明されていたにもかかわらず後から金銭を請求されるケースもあるという。

都内だけでも平成21年度には181件、昨年度には210件の苦情・相談が都消費生活センターに寄せられており、その7割近くは60歳以上の高齢者だ。相談事例の中には次のようなものがある。

「一人暮らしの70歳代の母が電話で勧誘され、自作の短歌を9万円で雑誌に掲載してもらった。その後展覧会への出展を勧められ、製作費の3万円を支払った」(50代女性)

「以前美術団体に所属していた。最近月3、4回展覧会出展の電話勧誘を受け、『皆さんほめていました』『価値のある絵なので出してもらいたい』と繰り返し言われた。断り続けたが勧誘がしつこく、根負けして契約書に署名押印してしまった」(70代女性)

このほかにも、自伝や戦争体験などの自費出版を誘われるケースもあるという。特に高齢者の被害が多いことから、家族やホームヘルパー、近隣住民などの見守りも大切だ。

芸術作品をたしなむ人は特にそうだが、他者から誉められるとつい心を許してしまうものだし、そうした心理につけ込む強引な”商法”は許し難い。芸術の秋を迎え、今後こうしたトラブルが増える恐れがあるということで、注意が必要だ。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)