人気TVシリーズ『刑事コロンボ』などで良く知られる俳優のピーター・フォークが、23日、ビバリーヒルズの自宅で死去したことが明らかになった。享年83。
フォークが死去したのは23日の夕方で、家族の代理人がメディアに出した声明文には「自宅で安らかに亡くなりました。」とある。詳しい直接の死因は明らかになっていないものの、3年前から患っていたアルツハイマー病に起因するものだと思われる。
フォークは、07年に歯の治療のための麻酔を受けた後から、症状が急速に悪化。09年には担当医師が、フォークがあの「コロンボ警部」の役柄を演じたことすらもはや覚えていないという、ショッキングな事実を明らかにしていた。
アルツハイマー病が明らかになってからは、元妻のアリス・メイヨーさんとの間にもらった養女のキャサリンさんと、フォークの2人目の妻であり『コロンボ』で共演した女優のシーラ・ダニーズとの間で、フォークの保護管理権を巡った法廷争いがあった。結局34年連れ添った現妻ダニーズにフォークの面倒を見る法律上の権利が与えられ、フォークは晩年はビバリーヒルズの自宅で、彼女を中心に24時間体制の介護を受けていたという。
フォークはニューヨーク出身で、東欧系の移民の息子として生まれ、ニューヨーク州にあるシラキュース大学で修士号を取得。その後CIAに就職をしようとしたが落とされ、コミュニティーシアターなどを経て俳優になった。
よれよれのレインコートを来て、ボサボサ頭に葉巻を口にくわえた当たり役の「刑事コロンボ」役を68年から03年まで、69エピソードにわたって演じ、同役でエミー賞を4回受賞。3歳の時、右眼に腫瘍が発見され、眼球の摘出手術を余儀なくされたため義眼をはめていたが、それによってあの独特の「斜に構えた苦みばしった演技」が誕生したという。
60年の映画『殺人会社』、61年の『ポケット一杯の幸福』で、アカデミー賞にも2度ノミネートされた。アルツハイマー病に倒れるまでは、映画『プリンセス・ブライド・ストーリー』や、主演した『The Thing About My Folks(原題)』、またニコラス・ケイジと共演した『NEXT -ネクスト-』など大小さまざまな役柄でも活躍した。ハリウッドからは様々な著名人からフォークの功績をたたえ彼の死去を悼む声が寄せられているが、長年の闘病を看取って来た、ご家族の悲しみはいかばかりかと思う。心からご冥福をお祈り申し上げたい。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)