writer : testjournalist

【ドラマの女王】月9×SMAP香取で視聴率も『幸せになろうよ』。2大ブランドに頼った月9の行方はどうなる?

たくさんの視聴者をイライラさせたであろう前クールの月9。今回はそんなイライラすることもないくらい心が動かされない出来にうんざりである。

今回の月9『幸せになろうよ』(フジテレビ系)は国民的アイドルSMAPの香取慎吾が主演だ。SMAPのメンバーが主演の月9は2010年の『月の恋人~Moon Lovers~』の木村拓哉以来。香取自身の主演は2008年の『薔薇のない花屋』以来3年振りである。

結婚相談所『B-ring』のアドバイザーとして働く高倉純平(香取)は、「結婚相談所で出会うとしても二人の間には本物の恋愛関係が生まれなければいけない」という信念のもとに働いている。そんなB-ringに柳沢春菜(黒木メイサ)が入会を希望して来た。美人で恋人にも困ることのなさそうな彼女。そんな彼女がB-ringに入会した理由が「自分を振った男を見返すため」だったことに純平は激怒するも「君がときめくような男を僕が見つけてやる」と宣言してしまう。

なんだか、このまま二人が少しの困難を乗り越えて結ばれていくだけの、まさに恋愛ドラマの王道パターンが繰り広げられそうな内容だ。舞台が結婚相談所であることで少しは現代風に見えるが、それもどこか現実味を帯びていない。人物のキャラクターも筋書きも90年代のトレンディードラマを彷彿させるかのように、素直すぎるのだ。
仕事の関係を超えて春菜に惹かれる純平も、元彼・矢代英彦(藤木直人)への思いが断ち切れていない春菜にも、自分の意思のようなものを感じない。与えられたレールの上を文句もなく走っているだけのように見えるのだ。二股かけて春菜を振った元彼・矢代を演じる藤木も前回の『CONTROL~犯罪心理捜査~』のマイペースな教授から一転、嫌な男を演じているのだが生ぬるく、ただの勘違いヤローにしか見えないのが悲しい。これも90年代ならそれなりにムカつくヤツと評価されたかもしれない。
それなりに仕事も順調で恋愛以外の悩みがないことも気になる。しかも唯一の恋愛の悩みも、そんなことに一日の大半を費やして悩んでいられるか!と思うような内容ばかりだ。「この人たち、もう幸せじゃん!」と机を叩きたくなるレベルなのだ。春菜と矢代がよりを戻すのではないかと不安になっただけで、かつてのサークル仲間を相手にラグビーのタックルにひたすら打ち込むのだ。そんなまさかの展開に、もう笑うしかなかった。30過ぎて悩む度にすることではないだろう。これだから古く感じてしまうのだ。悩む度にタックルなんて、いまの高校生でもしないのではないだろうか。彼らはもう充分幸せなのだ。

もしかしたら、今後まさかの新展開が待ち構えているかもしれない。けれど現段階ではフジテレビは少々、月9×SMAPというブランドに頼り過ぎなのではないか。という印象は否めない。初回こそ視聴率は16%を超える高成績だったが、その後は一気に11%まで落ち込んでいる。そもそも最近の月9×SMAPで斬新な面白い話はない。全てがどこか時代遅れに感じるものが多い。それならば、現代の話ではなく80年~90年代の話として作ってくれた方がよほど面白いものになりそうだ。

それに月9の後に控える『SMAP×SMAP』内のコントでは、そんなことさせていいのかと思わせるようなことをしたり衣装やメイクも施している。決して、きれいなことしか出来ないわけではないのだ。ぜひ、そのスマスマで培ったコントスキルをドラマでも披露していただきたい。いや、そんな本を書ける作家と、GOサインを出せるスタッフがいれば、もっと面白い数字的にも「幸せになれる」ドラマが出来るのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)