ネットでのコミュニケーションの歴史を振り返ると、パソコン通信に始まり、インターネット個人ホームページ全盛の時代があって、その後、執筆に専念できるブログサービスが人気を博した。
さらにその後、ソーシャルメディアが隆盛し、世界レベルではツイッターとフェイスブックが二大メディアとなっている。
この2つについて、ブロガーはどのように見ているか、ネットエイジアと第一生命経済研究所が調査結果を発表した。
データをみると、まずブログの更新頻度は2009年時データと比べてやや減少する傾向がある。
自分のブログにおいて「誰かの役に立つような情報」「おいしい情報」を載せている意識があるかどうかについては、男性で「ある」(「非常にある」と「どちらかといえばある」の合計、以下同じ)が43.7%であるのに対し、女性では28.9%となっていた。
ブログ作成の理由として、女性では「メモ・日記などの記録代わりに」「楽しいから、好きだから、面白いから」という自己満足型の理由が男性に比べて多いのに対し、「自分の情報を世の中に知らせたいから」については男性が女性を10ポイント上回っている。こうした点も、他者を意識した情報掲載か自己満足の情報掲載かを分けるポイントとなっていると考えられる。
今回の調査対象者のツイッター登録率は47.9%。その3分の1程度は「登録はしているがほとんど使っていない」としている。
また、フェイスブックについては83.3%が「使っていない」とし、7.1%が「登録はしているがほとんど使っていない」とするなど、9割以上が使っていないまたはほとんど使っていないとの実態が明らかとなった。
フェイスブックを使っていない理由としては『フェイスブック自体を知らなかった』というものも少なくない。
ブログ、ツイッター、フェイスブックの利用者に対し利用理由を尋ねたところ、ブログではダントツで「メモ・日記などの記録代わりに」となっていた。
一方、ツイッターで他より多かったのは「情報収集ができるから」「気軽にコミュニケーションができるから」「有名人とつながりたいから」となっている。フェイスブックは特に目立った理由がないのだが、しいて言えば「友だちとつながりたいから」がブログやツイッターより多い。
次いで、ブログ、ツイッター、フェイスブックそれぞれの利用者における情報公開状況についてみると、「実名」「性別」「年齢や生年月日」「現在の職業」「出身学校、以前いた会社名など、過去の履歴」についてはフェイスブックが最多となっている。「いずれも掲載していない」はツイッターで最も多くなっていた。
ブロガーにおけるツイッター、フェイスブックの使い分け状況について、生の声を拾ってみると、次のようなものがあった。
「ツイッターは思い立ったらすぐ書ける。ブログはまとまった量の更新向き。フェイスブックはよくわからないので使っていない」
「話が長くなりそうな話題はブログに書き、そうでない場合はツイッターに書く。実名を出すのが嫌なのでフェイスブックは使わない」
「ブログは趣味のため、記録のため。ツイッターは友人とのつながり、情報収集のため。フェイスブックは将来に備えての登録、写真の管理」
「ブログは情報提供、ツイッターは井戸端会議、フェイスブックは情報交換」
「フェイスブックは海外の人とつながるため」
そもそも、ブログについては人に見せたり人とつながったりすることを目的に作成している人ばかりではなく、あくまで作成することにのみ意義を見出している自己完結型ブロガーもいるので、ブロガーだから多様なネットワークツールに積極的であるというイメージは成り立たないという点に注意する必要がありそうだ。
また、フェイスブックの利用率が低いのは、日本で圧倒的なユーザー数を誇るmixiで完結してしまっているユーザーが多いこともありそうである。
この構図は、かつてのパソコン通信時代において「日本のnifty 世界のAOL」という棲み分けができていたことにも通じるものがあり、これからのソーシャルメディアを考える上でも興味深い現象であろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)