日本の東北関東大震災に関する悪趣味なジョークが波紋を呼び、生命保険のアフラック社アヒル声優の米コメディアンが解雇されたが、その後同社のCMは「無声」で放映されている。その一方で、全米からアヒル声の声優を一般公募するオーディションが始まった。
「日本はとても発展した国だ。ビーチに行かなくても、ビーチが自分からやってくる。」という悪趣味なジョークをつぶやき、アフラックのアヒルCMの声優を11年近く務めたコメディアンのギルバート・ゴットフリード(56=写真上左)が今月半ば、解雇された。アフラックは日本での生命保険販売が売り上げの75%を占めており、このような無神経な声優を雇っていては、会社の倫理観すら問われかねないと判断したものだ。
おなじみの「アフラック!」とアヒルが叫ぶCMの日本バージョンは別の声優が担当しているが、米国では00年から52バージョンものCMがオンエアされていて、全編ゴットフリードが声優を務めていたため、もう放映できなくなってしまった。
そこでアフラックでは苦肉の策として、このほどCMを「無声」にすることに。セピア色の映像に「危機に襲われる女性をアヒルが救う」というシナリオ、音楽と字幕のみの「サイレント映画編」は、06年に放映していたものだが、再編集し放映を始めた(写真上)。
実はこの「サイレント映画編」、アヒルが列車に轢かれてしまうという悲しい結末で(でも死なないらしい)、その後字幕で「アヒルの新しい声優になってみませんか? 詳しくはフェイスブックで」という告知が流れる。
「Aflac Duck」の公式フェイスブックサイトでは、アヒルが「ボクは今、声を取り戻すべく、いろいろと取り組んでいます。ボクを助けたい? それなら、新しい声優に応募して!」とコメント。一般公募のサイトへリンクを貼っている。
その公募サイトでは、「クアッ、クアッ」という応募者のオーディション音声(30秒以内)を直接アップロードできるほか、ニューヨーク、ロサンゼルスなど全米6か所で来月開催される、公開オーディションへの応募方法も告知されている。いずれも締め切りは来月1日までで、プロ、アマ問わず応募可能だ。
同社広報によると、オーディションでは「“アフラック”のたった一単語で、知的、いらいら、幸福感、傷つき、怒り、不平不満、などを表現する能力が問われます。」とのこと。また公募サイトの「Job Description」の欄には「我が社が持つ他人を思いやる精神と倫理観を、レコーディングスタジオ内外両方で保つこと」とあり、心ないジョークで会社のイメージを汚すような人物はご免だ、というアフラック社の固い決意が見て取れる。ちなみに公募サイト下欄には、日本の大震災被災者への寄付金受け付けボタンも設けてあり、ゴットフリードの日本ジョークで傷ついたかもしれないイメージ回復に懸命だ。
ここまで大それたキャンペーンを張って探す「アヒル声」。新声優によるCMは来月22日に放映が予定されている。
画像=アフラック「サイレント映画」CM http://www.youtube.com/watch?v=b3IfzByT6f0 及び
アフラックCM声優公募サイト http://QuackAflac.com/
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)