米著名人の間で、東北関東大震災についての失言が止まない。今度はCNBCの人気コメンテーターと、米南部ミシシッピ州知事の報道官の失言が明らかになり、コメンテーターは謝罪、報道官は辞職に追い込まれた。
経済専門の米ケーブルニュース局CNBCの人気コメンテーター、ラリー・クドロー氏(63=写真中央)は11日、日本の大震災発生直後のマーケット情報を伝える生放送中、こんな失言を発し大問題となった。世界経済第3位の経済大国の日本を揺さぶった大震災では、発生当初から世界経済への影響が懸念されたものの、米現地時間の11日のマーケットではNYダウ平均株価などの指標にそれほど落ち込みが見られなかった。それを受け、クドロー氏は「経済へのダメージよりも、日本の大震災の犠牲者の数のほうが、はるかにひどいことになっているようで、これについては、ありがたいとしか言いようがないわけですね。」と生放送で発言した。
経済への影響が少なかったことが「ありがたい」とコメントするだけなら、まだよかった。しかしクドロー氏は「地震の犠牲者が多数出た」ことに比べて「投資家への影響が少なかった」ことの方が「ありがたい」と言わんばかり。「投資に影響があるかないか」ということだけに関心を持ちがちな、ベテラン経済評論家としての本音が見えてしまい、批判の声があふれかえった。ヴァニティ・フェア誌電子版では「チャンネルを替える視聴者の数が増え、CNBCもありがたいのでは」と氏のコメントをもじって皮肉。ロサンゼルス・タイムズ紙電子版でも「大震災に関する最も無神経な発言」と評した。
批判を受けてクドロー氏は「経済損失に比べ日本の人的損失が重要でないという意味の発言ではない。口をすべらした。心から謝りたい。」と公式ツイッターで謝罪した。
また、米ミシシッピ州のヘイリー・バーバー知事(63)の報道官、ダン・ターナー氏も無神経な発言で問題に。同僚らに宛てた11日の電子メールの中で、伝説の黒人ソウル歌手オーティス・レディングの曲『ドック・オブ・ザ・ベイ(原題 The Dock Of The Bay)』について触れ「この曲は今の日本じゃ、大ヒットにはならないけどね。」などと書いた。この歌詞には「サンフランシスコの港のドックに座り、潮がうねるのをただ眺めて時間を費やした。」などとあり、レディングが飛行機事故で不慮の死を遂げる3日前に録音され、死後ヒットした曲である。ターナー氏の電子メールには他にも、ジャネット・レノ元米司法長官や、70年代のカンボジア大虐殺についての悪趣味なジョークが書かれていた。
政治専門紙にこのメールの内容がすっぱ抜かれ、悪趣味だと批判されたターナー氏は14日、報道官を辞任した。バーバー知事は野党・共和党のベテラン議員で、来年の米大統領選挙に出馬が予想されているほどの大物。自分の右腕とも呼べる報道官の「失言メール」の内容については知らなかったといい、ターナー氏は「全ての失言の責任は自分にある」と非を認めている。
クドロー画像及びビデオ=http://www.youtube.com/watch?v=lX80vWJhtMk
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)