東北巨大地震について米著名人の間で失言が相次いでいるが、今度は保守派のトークショーホストのグレン・ベック(47)と、ラッシュ・リンボー(60)の二人が問題発言をし、非難の矢面に立った。
東北巨大地震を受け、超保守派のトークショーホスト、グレン・ベック(写真上)が14日、今回の災害は「神様の仕業」だと自身のラジオ番組で発言した。ベックは「神様が地震を起こしたとは言わないが、やってないとは言い切れない!」とし、「神様のやることは神様の勝手だからわからないけど、これだけは言える。ガイア(ギリシア神話の大地の女神)と呼ぶか、イエスと呼ぶかはあなたの勝手だが、これは神様のメッセージだと思うんだ。」と続けた。
これに対し、サンフランシスコ・クロニクル紙は「宗教を曲解している」、そしてタイム誌では「ベックのトーク番組を放送しているFOXは、これをきっかけに彼を解雇すべき。」などと批判した。また女優ウーピー・ゴールドバーグ(55)は、レギュラー出演しているABCのトーク番組で、「もしこの災害が神の仕業だと思うなら、グレンよ、鏡を見ろと言いたい。」とバッシング。
また、同じく超保守派のラジオトークショーホストで、オバマ大統領批判の過激発言でも知られるラッシュ・リンボー(写真下)も、自身のラジオ番組の中で15日、こんな暴言を吐いた。リスナーが電話で「トヨタの“プリウス”を発明して環境保護しているはずの日本人が、なぜ“母なる地球”の怒りを買って震災を受けたのだろうか?」と問いかける。
すると、リンボーがABCニュースの大震災取材の一場面を紹介。そこでは看板アンカー、ダイアン・ソイヤー氏が被災者の避難所を訪れた際、「被災して避難を強いられているにもかかわらず、ごみが整然とリサイクルされていることに驚く」というもの。
これを受けてリンボーは「日本人は環境を守るために沢山のことをしてきた。プリウスを作り出し、大震災に遭ってもせっせとごみのリサイクルをしてる。それでもガイアの神様になぎ倒され、壊滅させられた。おまけに神は原発もなぎ倒して、放射能を撒き散らかしてる。どれだけの仕打ちを受けてるんだかなあ。あはは。」とせせら笑った。
これを受け、また米メディアが批判で「炎上」中だ。ロサンゼルス・タイムズ紙では「日本のように環境問題で発展した国が、前代未聞の自然災害に遭ったのが可笑しいことだとでも思っているのか?」と怒りの批評。エンターテインメント・ウィークリー誌は「彼の考えはクレージー」とリンボーを批判した上で「非常事態下でも略奪すら起こらない日本では、避難所でもリサイクルだってする。その理由は、震災にも関わらず日本がまだ前を見て復興しようとしているからだ。」とカウンターパンチを出した。MSNBCでも「今が震災についてジョークが通じる時だと思っているのか? 彼は痛々しいくらいの馬鹿者だ。信じられない。」と痛烈に批判した。
「自然災害は神の仕業」だとする考えはキリスト教の「終末論」に基づいた連想であり、米国民の76%が何らかのキリスト教を信じ、92%が神の存在を信じているという統計をかんがみると、これらの発言を真に受けてしまうリスナーも米国内には多々存在するであろう。しかし「神様」を盾に、震災で辛い思いをしている人たちに向かい、暴言を吐くことが許されると思っている「おごり」は許せず、心から「ふざけるな!」と叫びたい。
リンボー画像及びビデオ=http://www.youtube.com/watch?v=cBskDv4LvwM
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)