映画監督もこなし、ファッション、広告、芸術といった世界でそれは活躍している超有名な写真家のデヴィッド・ラシャペル氏(47)。同氏がこの度、著作権を侵害されたとして歌姫リアーナを訴えた。
Rolling Stone、Vanity Fair、GQといった有名誌で、イヤというほど目にする「photographer:David LaChapelle」の文字。本当に多くの仕事を手掛けているが、リアーナ(22)の話題のミュージック・ビデオ『S&M』について、自分の作品イメージを盗用したものであると激怒している。
『S&M』は、彼女のアルバム “LOUD(ラウド)” の中の1曲。写真上はそのビデオの一部分(YouTubeより)で、ピンクを基調にしたド派手な部屋でレーシーなスタイルの女性たちがハジけ、一人は家具の上に。そして写真下はラシャペル氏による “Striped Farce(for Def Jam)” という作品である。
ラシャペル氏はそのビデオ映像について、「構成、コンセプト、フィーリング、トーン、ムード、テーマ、カラー、小道具、室内装飾、衣装、照明、もうあらゆるものが自分の手掛けた作品とソックリだよ。一見して盗作と分かる部分、そして潜在的に真似されたと感じる部分が計8か所もある」と話す。
またバックは青、頭にスッポリとラテックス製のマスクを被り、ピンク色にコーティングされたポップ・コーンを色っぽく口の中に落とすというシーンについても、同氏は “Latex” という自身の作品(舌の上にはミニチュアのコーヒーカップ)に似ているとしている。
もしも裁判で、リアーナ側に著作権侵害があったと認められた場合を考えてみたい。今後、ピンクを基調にしたド派手な部屋で、女性たちが歌って踊ってハジければ、そしてラテックスのマスクを被って何かを口に入れれば、きっと “ラシャペル作品の盗用” と訴えられてしまうであろう。
何しろあらゆる業界にラシャペル氏の作品が溢れ、その実績は豊富すぎるほど。よって他者がどのような新しい作品を発表しても、“そのアイデアは私がオリジナル” と訴えられかねない。たとえ盗作のつもりなどなくても、である。こうなると裁判が怖くて意気揚揚と仕事が出来なくなるため、この裁判の行方には多くの関係者が大変な興味を示している。
もっともリアーナのビデオ『S&M』は、ゲイのゴシップ・ブロガー、ペレス・ヒルトンをゲストに迎え、ロープにテープにムチが小道具という文字通りSMの世界。マネキンのお尻を相手に腰まで振ってみせるその映像には、エロいというよりえげつないという声も。
案の定世界11か国で放送禁止となっている今、このビデオが自分の作品にソックリだと主張することが、どれほどの利益を彼にもたらすものか少々疑問でもある。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)